SPRITE-SAT

SPRITE-SAT（スプライト観測衛星）

SPRITE-SATは、東北大学大学院において開発されたスプライト観測衛星です。この衛星の主な目標は、宇宙空間から地球上のスプライト現象を観測することです。スプライトとは、落雷の際に高度40-90kmの高層大気中で発生する発光現象であり、赤い光と特有の形状から「スプライト」（妖精の意）と呼ばれています。スプライトは毎日数千から一万回も発生しており、極めて一般的な現象ではありますが、これまで地上からだけではその詳細なメカニズムを把握することが難しかったのです。

開発と打ち上げ

2009年1月23日、SPRITE-SATは種子島宇宙センターからH-IIAロケットのサブペイロードとして打ち上げられました。衛星の愛称は「雷神」とされ、設計は各辺50cmの立方体で、総重量は約50kgです。この衛星は地球から約660km上空の極軌道で運用されており、地上を真上から観察することができます。衛星は重力傾斜安定方式により姿勢を制御し、様々な観測機器を搭載しています。

特に、雷やスプライトを撮影するためのCMOSカメラ2台や、ガンマ線を検出するためのカウンタ、雷雲内の水平電流を観測するためのVLFアンテナを装備しています。全体として観測装置の重量は5kgです。カメラの開発には、業界でも世界的に名の知れたワテックとの共同作業が行われました。

観測の目的

SPRITE-SATの観測目的は、レーダやスプライトと、雷放電に伴うガンマ線との相関関係を明らかにすることです。以前の地球観測衛星による調査ではスプライトの発生位置に関するデータが収集されましたが、落雷地点とのタイミングや発生メカニズムについてはまだ解明されていないことが多い状況でした。SPRITE-SATは宇宙からの視点でこの神秘的な現象にアプローチすることを目指しています。

運用状況とトラブル

しかし、打ち上げ後の2009年2月20日に、衛星は地上からの指示に応じない状態となっていることが発表されました。この問題は、太陽電池が遮蔽され、電圧が大きく低下したことが原因と考えられています。その後、スプライトの観測は実施できていませんが、地上からの電波による監視は続いています。

雷神2の開発

春の2011年6月には、SPRITE-SATの後継機「雷神2」の開発が発表されました。新型衛星は、超多波長望遠撮像観測を新たなミッションとして加え、軽量化も図られています。2013年度にはALOS-2との相乗りで打ち上げを予定しており、さらなる観測能力を期待されています。開発には北海道大学も参加しており、新しいセンサや観測機器が搭載される予定です。

まとめ

以上のように、SPRITE-SATプロジェクトは、雷やスプライトとガンマ線の相関を探るための重要な試みです。宇宙からの貴重なデータは、地球上の気象現象や電磁現象の理解を深めるのに役立つことでしょう。次世代の衛星「雷神2」にも大きな期待が寄せられています。

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