SPring-8

SPring-8（スプリングエイト）

SPring-8は世界でも有数の放射光施設として知られ、兵庫県佐用町に位置しています。この施設は電子を加速・貯蔵するための加速器群と、発生した放射光を使用するための実験設備から構成されています。名称の「8」は、電子の最大加速エネルギーである8GeVに由来しています。

概要

SPring-8は、輝度、エネルギー、指向性において世界最高水準の放射光を生成できます。主に数keVから100keVのX線領域が利用されていますが、赤外線を発生させることも可能です。さらに、レーザービームを逆コンプトン散乱させることで、最大2.4GeVの単色ガンマ線を生成することも可能です。1991年に日本原子力研究所（原研）と理化学研究所（理研）の共同プロジェクトとして建設が始まり、1997年10月に運用が開始されました。両研究機関は、高輝度光科学研究センターに施設の運営と管理を委託しました。整備費は1,319億円に達します。

一般見学

この施設は一般見学が可能で、放射光普及棟にある展示室や一部の外部施設（ビームラインBL02B1など）を随時見学することができます。ただし、内部の実験設備や加速器を見るためには、毎年4月頃に行われる一般公開イベントへの参加が必要です。

併設施設

SPring-8の敷地内には、ナノテクノロジー研究開発に利用されている中型放射光施設「ニュースバル」や、SPring-8と共用するX線自由電子レーザー施設「SACLA」が併設されています。SACLAは2012年から運用を開始し、先端的な研究を促進しています。

設備について

SPring-8の主要な設備には、以下のような特徴があります。

• - 線型加速器：全長140m、最大加速エネルギー1GeV
• - シンクロトロン：周長396mで、8GeVまでの電子エネルギーを達成
• - 蓄積リング：周長は1,436m
• - ビームライン：62本（2008年1月時点では49本が稼働）。通常の長さは80mですが、さらに長い300mや1,000mのものも設置が可能です。

ビームラインの番号には特定の略号があり、挿入光源や光の種類を示しています。

産業利用

SPring-8は国内外の大学や研究機関、製薬会社、製鉄会社など、30社以上の産業利用にも対応しており、専用のビームラインが設けられています。特にトヨタ自動車は、単独でビームラインを持つ初の企業として、新設に着手しました。

また、1998年には和歌山毒物カレー事件において、毒物の成分分析にSPring-8が利用され、その性能が高く評価されました。さらに、2008年の映画「神様のパズル」やテレビ番組でもこの施設が撮影に使用されました。

アクセス

SPring-8へのアクセスは、相生駅からウイング神姫のSPring-8行きが約40分です。姫路駅からも接続が可能ですが、2023年3月31日をもって急行バスの運行が休止となったことに注意が必要です。

まとめ

世界最高峰の放射光を生成するSPring-8は、大学や研究機関、さらには産業界からの注目を集めている先端的な研究施設です。一般見学もできるため、広く人々にその存在を知ってもらうことにも力を入れています。

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