SR-72 (航空機)

SR-72: 極超音速無人航空機

SR-72は、アメリカのロッキード・マーティンが開発中の軍用無人航空機であり、最高速度はマッハ6に達するとされる極超音速偵察機です。この機体は、1960年代に開発された有人偵察機SR-71の後継機として位置付けられており、極超音速飛行を可能にする先進的な技術が搭載されています。

概要と目的

SR-72は、異なる特性を持つ二種類のエンジンを搭載しています。まず、デュアルラムジェットエンジンは極超音速飛行を実現するためのもので、一方で、離陸時には通常のジェットエンジンがマッハ3までの加速をサポートします。この二重の推進機構により、機体は迅速に高度な飛行性能を発揮します。また、全長はおよそ30メートルで、航空機としての基本的なサイズを保持しつつ、極超音速という特殊な能力に対応する設計となっています。

さらに、この機体は武装の搭載も考慮されています。特に注目すべきは、ロッキード・マーティンが開発している極超音速ミサイル「HSSW」です。SR-72がこのミサイルを搭載することが可能であれば、敵の防空網を容易に突破する能力を持つことになります。

ステルス性と設計理念

興味深い点として、SR-72の設計においては、ステルス性はあまり重視されていないようです。むしろ、極超音速の特性を活かして、敵の攻撃を回避することが優先されています。このアプローチは、航空戦における新たな戦略を示唆しています。すなわち、敵の防空システムに対しては速さと機動性が最も効果的であるとする考え方です。

開発の経緯

SR-72の開発計画は2013年に公式に発表され、これ以降、テストや実証が進められてきました。初めての試作機の完成は2018年を見込まれており、さらなる技術的な検証を通じて、この極超音速機は2030年頃には実戦に投入される予定です。この計画が実現すれば、空中戦の様相が大きく変わることが期待されています。

国防高等研究計画局（DARPA）との共同研究も行われており、開発には過去の極超音速試験機であるFalcon HTV2のデータが活用されています。これにより、技術的なノウハウが蓄積され、次世代の航空機技術の発展に貢献しています。

SR-72に関する関連情報

SR-72は、ロッキード・マーティンの航空機設計における最前線を象徴するプロジェクトの一つです。そのデザインは、映画『トップガン・マーヴェリック』に登場する架空の航空機「ダークスター」に影響を与えており、実際の技術開発とフィクションとの境界を曖昧にしています。さらに、SR-71ブラックバードやSR-91オーロラといった他の偵察機とともに、航空機の進化の一環をなしています。

SR-72の開発は、未来の航空戦に新しい潮流をもたらすと期待されており、軍事技術の進化の象徴といえるでしょう。

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