SRAM (ミサイル)

SRAM（短距離攻撃ミサイル）

SRAM、または短距離攻撃ミサイル（AGM-69）は、アメリカ空軍が冷戦の中で運用した空対地ミサイルです。このミサイルは、核ミサイルの一種として分類されています。SRAMは、AGM-28 ハウンド・ドッグ巡航ミサイルの後継機として開発され、核攻撃の能力を有する点で重要な役割を果たしました。

開発の背景

冷戦の初期において、アメリカの戦略爆撃機に搭載された核爆弾は自由落下式であり、攻撃時には目標の上空を通過する必要がありました。このプロセスは母機にとって非常に危険で、被撃墜のリスクが高まっていました。対抗手段として、戦略航空軍団は、目標から離れた地点から発射可能な核爆弾、すなわち空対地ミサイルの開発を目指しました。これにより、AGM-28 ハウンド・ドッグが開発されましたが、そのサイズの大きさから実用的ではありませんでした。このため、1964年に新たな開発要件が提示され、1966年にボーイング社との契約を経てSRAMの開発が始まりました。

SRAMの特徴

SRAMの最大の特徴の一つは、その小型軽量化です。1発の重量は約1トンで、従来のハウンド・ドッグと比較して非常にコンパクトです。これにより、B-52の爆弾倉に8発、主翼下パイロンに最大12発を搭載できました。しかし、SRAMは固体ロケットモーターにより推進されており、速度はマッハ3に達しますが、その射程は約160kmと短く、ハウンド・ドッグの約1200kmには及びませんでした。こうして1972年からSRAMの配備がスタートし、1975年までに約1500発が生産されました。

運用と搭載機

SRAMは、いくつかの戦略爆撃機に搭載され、運用されました。B-52G/H型では最大20発、B-1BやFB-111型ではそれぞれ24発及び6発の搭載が可能です。しかし後に機外搭載は中止され、機内に収容して運用される方式が主流となりました。

退役とその後

冷戦終結後、SRAMは1990年に退役しました。その後の小型化と射程延長を狙ったAGM-131 SRAM IIの開発が始まるものの、1991年に計画は中止されました。

登場作品と文化への影響

SRAMは『機動警察パトレイバー アーリーデイズ』などの作品にも登場し、架空の軍事作戦において重要な役割を果たしています。特に、第6話では自衛隊のクーデター部隊に利用される場面が描かれており、この作品を通じて一般の人々にも広く認知されています。

要目

• - 全長: 4.27m
• - 直径: 0.45m
• - 重量: 約1t
• - 射程: 160km
• - エンジン: 固体燃料ロケット
• - 弾頭: W69 熱核弾頭（核出力：170-200kt）
• - 最大速度: マッハ3

このようにSRAMは、冷戦期のアメリカの核戦略において重要な役割を果たし、戦術的な変革を促した兵器の一つです。

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