STS-78

STS-78は、1996年6月20日にコロンビア宇宙船を用いてケネディ宇宙センターから打ち上げられた、スペースシャトル計画における5回目のスペースラブ・ミッションです。このミッションは、生命科学と微小重力実験に焦点が当てられ、国際宇宙ステーション（ISS）建設に向けた準備も兼ねていました。

乗組員

STS-78には、7名の乗組員が搭乗しました。

船長：テレンス・ヘンリックス (4回目の飛行)
操縦手：ケビン・クレーゲル (2回目の飛行)
ミッションスペシャリスト1：リチャード・リネハン (1回目の飛行)
ミッションスペシャリスト2：スーザン・J・ヘルムズ (3回目の飛行)
ミッションスペシャリスト3：チャールズ・ブレイディ (1回目の飛行)
ペイロードスペシャリスト1：ジャン＝ジャック・ファビエ (CNES, 1回目の飛行)
ペイロードスペシャリスト2：ロバート・サースク (CSA, 1回目の飛行)

バックアップ要員として、ペドロ・デュケ (ESA)とルカ・ウルバニ (ASI)がペイロードスペシャリストの役割を担いました。

ミッションの目的

STS-78の主な目的は以下の通りです。

ISSへの長期滞在を見据え、宇宙飛行が人間の生理機能に及ぼす影響を長期的に研究すること。
スペースラブを利用し、22件の生物学および微小重力実験を実施すること。
軌道上の衛星の高度を上げるための姿勢制御システムの利用を試験すること。

ミッションのハイライト

16日間と21時間に及ぶミッション期間中、乗組員はISSでの長期滞在に備え、宇宙環境が人体に与える影響に関する実験を集中的に行いました。これらの実験は、現在ISSで行われているものと類似した内容を含んでいました。

打ち上げ後、コロンビアは高度278km、軌道傾斜角39度の軌道に到達し、7人の乗組員は地球上とほぼ同じリズムで睡眠を取り、微小重力実験に影響を与える可能性のある機体の振動や加速度を最小限に抑えることができました。

軌道に到達後、乗組員は全長13メートルの加圧されたスペースラブ・モジュールに入り、40以上の科学実験を実施しました。実験はモジュール内の実験室だけでなく、ミッドデッキのロッカーも活用して行われました。13の実験は微小重力が人体に与える影響を調査するもので、残りの6つはほぼ無重力環境下での液体や金属の挙動、金属合金やタンパク質結晶の生成に関するものでした。乗組員は、微小重力下での睡眠パターンに関する初の実験や、宇宙における骨や筋肉の減少に関する調査も行いました。さらに、液体の物理学を研究するためのBubble, Drop and Particle Unit (BDPU)のハードウェアで発生した問題の解決にも取り組みました。

また、このミッションでは、後の2度目のハッブル宇宙望遠鏡ミッションで使用された、太陽電池アレイに損傷を与えることなく望遠鏡の高度を上げるための手順の試験も行われました。この試験では、ペイロードに影響を与えないよう、コロンビアの姿勢制御用バーニアスラスタを用いてシャトルの高度を徐々に上昇させました。試験は成功し、後にSTS-82のディスカバリーや、シャトルがISSを訪れる際の軌道変更に繰り返し利用されました。

STS-78ミッション中、特筆すべき問題は発生しませんでした。このミッションは、スペースシャトル計画全体で78回目、コロンビアにとっては20回目の飛行となりました。

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