SU-100 (自走砲)

SU-100 自走砲

SU-100（ロシア語: СУ-100）は、T-34戦車を基に開発された自走砲で、その性能を向上させるためにSU-85の改良版として登場しました。主に100mmの長砲身対戦車砲を装備しており、1944年から1946年にかけて大規模に生産されました。この自走砲は、自軍の装備を強化するために重要な役割を果たしました。

開発の経緯

SU-100は、初めは海軍用のB-34 100mm砲を搭載する計画がありましたが、設計上の問題からより軽量で高性能なD-10S砲に変更されました。1944年9月にはスヴェルドロフスクの国営第9ウラル重機械工具製造所で生産が開始され、最終的に1,675輌が製造されました。戦後もチェコスロバキアで生産され、エジプトなどに輸出されて活用されています。

工場で製造されたチェコ製のSU-100Mは、ソ連製と比べて外装に違いがあり、特に車体右側面の雑具箱や戦闘室のハッチデザインから容易に識別できます。さらに、ユーゴスラヴィアやキューバ、アンゴラにも供与されました。

構成と性能

SU-100は、基本的な設計がSU-85とほぼ同様でありながら、車長用の直視型ヴィジョンブロック付きのキューポラが追加されています。前面装甲は従来の45mmから75mmへと強化され、戦闘室の設計も見直されています。しかし、砲のサイズ増加に伴い、車体が前傾する傾向があり、操縦には注意が必要でした。

搭載されたD-10S砲は、非常に高い装甲貫徹力を持ち、敵戦車に対して優位な攻撃性能を発揮しましたが、砲弾搭載量は34発と制限されていました。この武器は、各種の弾薬タイプにより、異なる距離で高い貫通力を維持しました。

運用

SU-100は1945年の初陣以来、オストプロイセンやハンガリーで活躍しました。バラトン湖の戦いでは、多数のSU-100が投入され、その戦闘能力が評価されました。戦後もソビエト軍では一定期間運用され、外部への供与が行われるなど、国際的に広がりを見せました。

2015年にはイエメン内戦でのSU-100の姿が確認され、依然として実戦での利用が続いていることを示しています。

運用国の現状

2024年において、モロッコ陸軍が8輌のSU-100を運用中です。これらの車両は、過去の戦闘経験を生かした運用が期待されています。

エンターテインメントへの登場

SU-100は、映画やビデオゲームにも登場し、特に『アルジェの戦い』や『第27囚人戦車隊』において重要な役割を果たしました。また、ゲーム『World of Tanks』や『War Thunder』ではプレイヤーが利用できる駆逐戦車として登場しており、人気のあるキャラクターとなっています。さらに、タミヤから販売されているプラモデルも、多くのファンに支持されています。

SU-100は、その独特のデザインと高い戦闘能力から、今でも多くの愛好者に親しまれています。その役割を終えた現在でも、歴史的な価値を持つ存在として記憶されています。

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