SUNSHOWER

アルバム『SUNSHOWER』の魅力

大貫妙子の通算2作目のスタジオ・アルバム『SUNSHOWER』は、1977年7月25日にリリースされました。このアルバムは、坂本龍一やクリス・パーカーなど、当時のトップミュージシャンたちが参加し、フュージョンやクロスオーバー・AORを取り入れた先進的な作品として知られています。シティ・ポップの初期を代表する名盤として多くの音楽ファンから高く評価されています。

制作の背景と意図

このアルバムは、パナム・レーベルにおける最後のオリジナル・アルバムであり、プロデューサーの国吉静治によると、「前作のシュガー・ベイブの影響が色濃かったファーストアルバムとは異なり、今回はクロスオーバーの要素を意識した作品になりました。」というコメントが残されています。1970年代中頃、ジャズから派生したクロスオーバージャンルが確立されつつあり、その影響がアルバム制作に色濃く反映されています。

大貫はアルバム制作にあたり、坂本と共に様々なアイデアを出し合いましたが、特にクリス・パーカーの参加は重要な要素です。彼はニューヨークから呼ばれ、スタジオでの録音前に全てのアレンジが完成している必要がありました。そのため、短期間で集中して制作が行われました。このような状況により、アルバムは非常にスピーディーに完成し、大貫にとっても特別な作品となったのです。

大貫の思い

当時の大貫はレコード会社のサポートが薄れていく中で、自由に音楽を作ることができたと言います。「好きなように作る」という精神が強くなり、フュージョンやクロスオーバーを聴きまくる毎日があったとのことです。そのため、ポップスに対する興味が薄れ、音作りに傾倒していきました。「サウンドが前面に出過ぎたかもしれない」と振り返る一方で、「当時としてはよくできたアルバムだと思っています」と語っています。坂本も力を入れたアレンジが施され、アルバム全体のクオリティを高める要因となりました。

再評価と影響

その後、2014年にはバラエティ番組の影響で『SUNSHOWER』が再び注目を集め、アナログレコードが複数回再プレスされるなど、その人気が再燃しました。2015年には一部楽曲のカップリングを収めたアナログ7インチ盤も限定リリースされました。特に、タイトルの“サンシャワー”は「天気雨」を意味し、陽射しと雨が同時に存在する不思議な情景を想起させるかのようです。

収録曲一覧

アルバムには以下の曲が収録されています。
SIDE A

• - Summer Connection (4'29")
• - くすりをたくさん (4'07")
• - 何もいらない (4'00")
• - 都会 (5'09")
• - からっぽの椅子 (5'35")

SIDE B

• - Law Of Nature (3'46")
• - 誰のために (5'30")
• - Silent Screamer (3'31")
• - Sargasso Sea (2'46")
• - 振子の山羊 (5'40")

『SUNSHOWER』は、シティ・ポップやフュージョンの愉しみを多くのリスナーに届ける名盤として、今なお多くの人に愛されています。

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