SWEET CANDY RAIN

SWEET CANDY RAIN

『SWEET CANDY RAIN』（スウィート キャンディ レイン）は、日本の音楽家であるYOSHII LOVINSONが発表した、キャリアにおける2枚目のシングル作品である。2004年の年明け間もない1月9日、EMIミュージック・ジャパンよりそのベールを脱いだ。このリリースは、前作のシングルから約3ヶ月という短い間隔での発表となり、ソロ活動が活発化している時期を示していた。

本作は、YOSHII LOVINSON名義としては初となるオリジナルフルアルバム『at the BLACK HOLE』に先駆けてリリースされた、いわゆる先行シングルとしての役割を担っていた。アルバムの全体像や音楽的アプローチの一端をリスナーに提示し、これから発表される大作への期待感を高める意図があったと考えられる。

このシングルのサウンドプロダクションにおいて特筆すべきは、その制作スタイルである。YOSHII LOVINSON自身が、レコーディングに参加したドラマー以外の全ての楽器演奏を担当しているのだ。ギター、ベース、キーボードなど、多岐にわたるパートを一人でこなすことで、彼の頭の中で描かれた音楽的なアイデアやニュアンスが、よりダイレクトに楽曲に反映されている。このセルフプロデュースに近い形態は、ソロアーティストとしての彼のクリエイティビティを存分に発揮する上での重要な要素となっている。

本シングルの発表に至るまでには、興味深いいきさつがあった。当初、EMIミュージック・ジャパンからのアナウンスによれば、セカンドシングルとしてリリースされる予定だったのは「red leaves」という全く別の楽曲だったのである。しかし、この「red leaves」に収録されていた歌詞の内容が、当時の日本の放送基準やメディアでの取り扱いに際して問題がある、あるいは適さないと判断されたため、急遽シングルの楽曲を変更せざるを得なくなったのだ。この変更により、『SWEET CANDY RAIN』が新たなセカンドシングルとして選ばれ、発売されることになった。

当初予定されていた「red leaves」は、このままお蔵入りとなったわけではない。歌詞の内容が改められ、それに伴いタイトルも「BLOWN UP CHILDREN」と変更された。この生まれ変わった楽曲は、次作、すなわちYOSHII LOVINSONの3枚目のシングルとして2004年3月にリリースされた『トブヨウニ』のカップリング曲として収録されることになった。予定された楽曲が形を変え、時期をずらしてでもファンに届けられたことは、制作者の意向や楽曲への愛着を示すエピソードと言えるだろう。

『SWEET CANDY RAIN』シングルには、表題曲に加え、個性豊かなカップリング曲が2曲収録されている。全収録曲の作詞、作曲、そして編曲は、すべてYOSHII LOVINSON本人が手掛けている。

1. SWEET CANDY RAIN (4分39秒)
2. SPIRIT'S COMING (GET OUT I LOVE ROLLING STONES) (4分14秒)
3. 70 GO (2分36秒)

これらの収録曲の中から、「SWEET CANDY RAIN」と「SPIRIT'S COMING (GET OUT I LOVE ROLLING STONES)」の2曲は、このシングルの直後にリリースされたYOSHII LOVINSON名義でのファーストアルバム『at the BLACK HOLE』に収められた。特に表題曲である「SWEET CANDY RAIN」は、その後も彼の代表曲の一つとして扱われ、2007年にリリースされたキャリアを総括するベストアルバム『20』にもセレクトされている。

『SWEET CANDY RAIN』は、YOSHII LOVINSONがソロアーティストとして確固たる地位を築き上げていく時期に発表された重要な作品である。先行シングルとしてアルバムへの橋渡しをしつつ、制作上の特異性やリリースに至るまでのドラマチックな経緯も含め、彼の音楽活動の一断面を色濃く反映した一作と言えるだろう。このシングルを通じて、彼は自身の音楽性や表現の幅をリスナーに強く印象付けた。

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