Sada City

アルバム『Sada City』の概要

さだまさしが2011年にリリースした『Sada City』は、彼のソロアルバムとしては36枚目、またグレープ時代を含めると40作目となるオリジナルアルバムです。このアルバムには、過去にリリースしたシングルは存在せず、全て新作の楽曲が収められています。さだの楽曲の多くは特定の場所に基づかないものが多く、「まさしんぐタウン」と呼ばれてきたのですが、彼の楽曲が500曲を超えるにつれ、より多様な街の背景を想像し、新たに「さだシティ」を創造することとなりました。

新しい街には文化施設を中心とした楽曲が並び、さだはライナーノートを「旅行案内書」と題して、各曲を訪れる楽しさを表現しています。また、アルバムのジャケットは友人であるイラストレーターおぐらひろかずが手がけ、前作『予感』の桜の樹が描かれた街並みが特徴的です。初回限定版はBOX仕様で、ファンにとって特別な一枚となっています。

震災の影響と制作過程
このアルバムの制作中、2011年3月11日に発生した東日本大震災がさだに大きな影響を与えました。当初は歌っている場合ではないと感じ途方に暮れた彼でしたが、音楽家として何か役立つことができるのではと再考し、制作を続ける決意を固めました。この思いはブックレットの「市長挨拶」にも記されています。

収録曲の紹介

『Sada City』には以下のような曲が収められています：

• - 桜の樹の下で

東日本大震災からの復興を願う内容の曲で、NHK『今夜も生でさだまさし』のオープニング曲にもなっています。

• - 名画座の恋

さだが訪れた青砥の京成名画座での思い出が歌われており、懐かしさを感じさせます。

• - プラネタリウム

二人の恋人によるプラネタリウムの思い出を基にした楽曲で、チュニジアのジャスミン革命も言及されています。

• - 廣重寫眞館

歌川広重の絵画が飾られていた写真館の閉館をテーマにした曲です。

• - 古い時計台の歌

さだ自身へのメッセージが込められた深い歌詞が印象的です。

• - 泣クモヨシ笑フモヨシ〜小サキ歌ノ小屋ヲ建テ〜

自身のコンサートホールをテーマにし、震災後に歌い続ける意志を示した重要な曲となっています。

• - 桜の樹の下で〜reprise〜

アルバムの最初と最後を同じ楽曲でつなぐという、彼のアルバム制作における常套手段を用いた作品です。

制作の裏側と参加ミュージシャン

アルバム全体の作詞・作曲はさだまさしが手掛け、いくつかの曲の編曲には渡辺俊幸が起用されています。特に「古い時計台の歌」では倉田信雄との共同編曲が行われました。

主な参加ミュージシャンには、さだの他、アコースティックギターに松原正樹、ピアノに倉田信雄、ドラムには島村英二などがおり、豪華な顔ぶれが揃っています。また、ブックレットにはさだが実際に使用したギターの名前も掲載されています。
音楽活動に対するさだの真摯な姿勢が垣間見えるアルバム『Sada City』は、彼自身の歴史や思いが込められた貴重な作品であり、聴き手に強いメッセージを届ける内容となっています。

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