Sd Kfz 254

Sd.kfz.254 (ザウラー RK-7)

Sd.kfz.254（ザウラー RK-7）は、第二次世界大戦の時代にドイツ国防軍で使用された特異な装甲車両です。この車両の特徴は、履帯とタイヤの両方の走行装置を備え、状況に応じて切り替えて使用できる点にあります。

概要

この装甲車は、1935年から1936年にかけてオーストリアのザウラー社によって開発されたもので、当初はオーストリア陸軍に向けたザウラー RR-7砲兵トラクターとして設計されました。サスペンションに装軌式と装輪式の走行装置を搭載することで、2種類の走行方式の利点を活かせるという独自の構造を持っていました。

装軌車両は不整地での走行性能に優れる一方、長距離走行には不向きです。対照的に、装輪車両は舗装された道路上での走行性能が高く、航続距離も長いですが、未舗装地での運用は困難です。これらの特性を考慮し、運用者は舗装道路では装輪式を、不整地では装軌式を選択して使用することができるという設計です。

実際の走行装置の切り替えは、装軌式走行装置の外側に取り付けられた装輪式を上下に動かすことによって行われました。この革新的なデザインは、1937年に試験を経て、1938年にはオーストリア軍から量産の指示が下されましたが、この時期にドイツによるオーストリアの併合がありました。

ドイツ国防軍への移行

オーストリアがドイツに併合された後、新たにRK-7という形名が与えられ、ドイツ国防軍の要求に基づいてRR-7の装甲車版が開発されました。1940年から1941年にかけて128両が生産され、これらはSd.kfz.254の特殊車両番号を付与され運用されました。

特に北アフリカ戦線では、無線通信用のフレームアンテナを装備した車両も運用され、砲兵観測車としての役割を果たすこともありました。

ハーフトラックとの違い

当時のドイツ軍にはハーフトラックと呼ばれる、前がタイヤで後が履帯の複合構造を持つ車両も多くありましたが、これらはタイヤと履帯を同時に使用するものであり、Sd.kfz.254とは本質的に異なる設計です。ハーフトラックは、特に機動性を重視した運用が求められていたため、それぞれの用途によって機構の設計が異なります。

まとめ

Sd.kfz.254は、異なる地形での任務に対応するために、履帯とタイヤの両方の利点を活かす設計が施された装甲車両です。これによって、ドイツ国防軍の作戦における柔軟性を高め、多様な環境での運用が可能となりました。

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