She (テレビドラマ)

『She』：謎の失踪事件と五人の少女たちの秘密

2015年、フジテレビ系の土ドラ枠で放送された『She』は、学園を舞台にした青春ミステリードラマです。特徴的なのは、その斬新な演出。従来のドラマとは異なり、長回しと手持ちカメラを多用したドキュメンタリースタイル（モキュメンタリー）で撮影されており、あたかも現実を見ているかのような臨場感を生み出しています。さらに、従来のドラマのような明確な主人公が存在しないという実験的な試みも話題を呼びました。

物語は、学園で最も美しいと評判の荻原あづさが突如失踪したことから始まります。あづさの一番の親友である西澤涼子は、その失踪の真相を探るべく、独自に調査を開始します。クールで知的な涼子は将来ジャーナリストを志望しており、カメラを手に持ち、他の生徒たちに聞き込み調査を行う姿が印象的です。

涼子の調査が進むにつれて、あづさを中心とした5人の少女たちの複雑な人間関係や、それぞれの抱える秘密が明らかになっていきます。あづさとは学年のクイーンの座を争っていた山本沙綾、目立たない存在の奥村千里、平凡ながらもブレイクを夢見る江藤美百合。それぞれの個性と秘密が、失踪事件という謎をより一層深めていきます。

あづさの恋人である村岡晴人は、学園一のイケメンで、バドミントン部では県大会優勝の実力を持つ人物です。彼の友人である広瀬祐喜は、イケメンでチャラい性格の持ち主。あづさの母親である荻原みづきも、物語に深く関わってきます。過剰な愛情を注ぐ母親の姿は、あづさの失踪の謎を解く上で重要な鍵となる可能性を秘めています。

事件の捜査にあたる警察官・川上や、生徒たちの担任である森下先生も、物語に重要な役割を果たします。そして、物語のキーパーソンとなるのが、15年前に失踪した藤井玲花という少女です。あづさの幼少期の頃の写真に写っている人物、そしてあづさ自身も幼少期に何らかの事件に巻き込まれていた可能性が示唆されます。

『She』は、単なる失踪事件の謎解きにとどまらず、思春期の少女たちが抱える葛藤や、複雑な人間関係、そしてそれぞれの心の闇を繊細に描き出しています。ドキュメンタリー風の演出と、主人公不在という実験的なスタイルは、視聴者に物語への没入感を高め、一気に見終えてしまうような魅力的な作品に仕上がっています。主演の松岡茉優をはじめ、中条あやみ、竹富聖花、森川葵、清水くるみなど、若手実力派女優たちの演技も光る作品です。

このドラマは、失踪事件というミステリアスな展開と、少女たちの心の機微を丁寧に描いた人間ドラマが絶妙に融合した、記憶に残る作品となっています。視聴者自身も、あたかも事件の謎を解き明かしていく探偵になったかのような感覚を味わえる、そんな魅力的なドラマです。様々な伏線が張り巡らされ、ラストシーンまで目が離せない展開が繰り広げられます。あなたも、この複雑に絡み合う人間関係と、隠された真実を、ぜひ探求してみてください。

もう一度検索