Slackware

Slackwareとは

Slackwareは、1992年に誕生した、最も歴史のあるLinuxディストリビューションの一つです。そのシンプルさと柔軟性から、Linuxの学習用としても推奨されています。Slackwareの哲学は「緩さ」にあり、ユーザーがシステムを深く理解し、カスタマイズすることを重視しています。

パッケージ管理

Slackwareのパッケージ管理は、他のディストリビューションとは異なる特徴を持っています。依存関係の自動解決は行われず、ユーザーが手動で必要なパッケージをインストールする必要があります。これは、一見すると不便に思えるかもしれませんが、システムの透明性を高め、ユーザーがシステムをより深く理解するのに役立ちます。

パッケージ作成の容易さ

Slackwareの大きな利点の一つは、パッケージを自分で簡単に作成できることです。ソースコードからコンパイルしてパッケージを作成する際、configureオプションを自由に選択できます。これにより、不要なライブラリや不安定なライブラリを排除し、自分好みのパッケージを構築できます。また、リンク方法を静的または動的に選択することで、速度やファイルサイズを最適化できます。これにより、パッケージの管理が容易になり、システムのクリーンさを保つことができます。

レポジトリの制約からの解放

他の多くのディストリビューションでは、パッケージ管理のためにレポジトリを追加する必要があります。しかし、Slackwareでは、ソースコードがあれば自分でビルドしてパッケージ化できるため、レポジトリに依存する必要がありません。これにより、パッケージの衝突を避けることができ、より自由なシステム構築が可能になります。

pkgtool

pkgtoolは、Slackwareに標準で搭載されているパッケージ管理ツールです。pkgtoolを使用することで、パッケージのインストール、アップグレード、削除を手動で行うことができます。シンプルさと最小限の自動化を特徴としており、Slackwareの哲学を体現しています。pkgtoolには依存関係解決機能がないため、パッケージ管理には一定の知識が求められますが、システムの透明性を高め、ユーザーがシステムをより深く理解するのに役立ちます。

pkgtoolには、以下のコマンドがあります。

`installpkg`：パッケージのインストール
`upgradepkg`：パッケージのアップグレード
`removepkg`：パッケージの削除

Slackpkg

Slackpkgは、Slackware 12.2から公式パッケージとして採用されたパッケージ管理ツールです。Slackpkgは、パッケージリストの更新、新規パッケージのインストール、既存パッケージのアップグレード、不要なパッケージの削除などを行うことができます。Slackpkgは、公式パッケージについては依存関係を考慮しますが、パッケージシステム全体としては依存関係チェックは行いません。Slackwareでは、全パッケージのインストールが推奨されています。

Slackpkgには、以下のオプションがあります。

`--update`：パッケージリストの更新
`--install-new`：新規パッケージのインストール
`--upgrade-all`：既存パッケージのアップグレード
`--clean-system`：不要なパッケージの削除

rpm2txz

rpm2txzは、RPM形式のパッケージをSlackware形式（.txz）に変換するツールです。このツールを使用することで、RPM形式で配布されているソフトウェアをSlackwareで利用できます。ただし、依存関係の解決は行わないため、手動で依存関係を解決する必要があります。同様に、deb形式のパッケージを変換するツールとして、`deb2tgz`が存在します。

日本語対応

Slackwareは、デフォルトで日本語に対応しています。日本語フォントとして、SazanamiやNoto Sans/Serifが収録されており、日本語入力環境は、Fcitxとibusが利用可能です。入力システムとしてAnthyのUnicode版が採用されています。

コミュニティとディスカッション

Slackwareのバージョンアップに関する議論は、LinuxQuestions.orgの専用スレッドで行われています。このスレッドには、Slackwareの開発メンバーや派生ディストリビューションの開発者も参加しており、活発な情報交換が行われています。

最新リリースとバージョン履歴

Slackwareの最新安定版は、2022年2月4日にリリースされた15.0です。このバージョンには、Linuxカーネル5.15.19、GCC 11.2、KDE Plasma 5、Xfce 4.16が含まれています。

派生ディストリビューション

Slackwareには、多くの派生ディストリビューションが存在します。これらの派生ディストリビューションは、Slackwareをベースに独自の機能やカスタマイズを追加しています。主な派生ディストリビューションには、以下のようなものがあります。

Slackware派生
パッケージ管理などが同様のディストリビューション
Slax派生
Slackwareの孫にあたるディストリビューション
その他の派生版
Dragora GNU/Linux-Libre：自由ソフトウェアのみで構成されるディストリビューション
Puppy Linux：Slackwareを母体とする軽量ディストリビューション
* Plamo Linux：Slackwareを日本語化したディストリビューション

openSUSEは、登場当初はSlackwareの派生版でしたが、現在はRPM系ディストリビューションに分類されます。

まとめ

Slackwareは、そのシンプルさと柔軟性から、多くのユーザーに支持されているLinuxディストリビューションです。パッケージ管理の自由度が高く、自分でシステムをカスタマイズしたいユーザーにとって最適な選択肢と言えるでしょう。また、長い歴史を持つディストリビューションであり、安定性と信頼性も兼ね備えています。

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