Sophia (アルバム)

アルバム『Sophia』の魅力と制作秘話

1983年7月21日、山下久美子がリリースした6thスタジオ・アルバム『Sophia』。このアルバムは、同日にリリースされたシングル「こっちをお向きよソフィア」と共に、音楽ファンの間で大きな話題を呼びました。キャッチコピーは「こっちを向いてくんなけりゃ、イヤッ。」というユーモア満載のフレーズが印象的です。

アルバムの背景と制作過程

『Sophia』は前作から約8か月ぶりの発表となりました。このアルバムのコ・プロデューサーにはヒュー・マクラッケンが起用され、録音はアメリカ・ニューヨークのスタジオ「ザ・パワー・ステーション」ですすめられました。

当初、山下のディレクターである福岡智彦は海外でのレコーディングに消極的でしたが、日本コロムビアの宣伝担当の渡部洋二郎が「次はニューヨークでの録音が良い」と提案したことで、プロジェクトが進展しました。渡部が多くの段取りを進め、音楽プロデューサーも決まっていたため、福岡は驚きながらもその状況に対応していくこととなりました。

録音の様子

『ザ・パワー・ステーション』でのレコーディングは、夜8時から始まり、深夜まで続くものでした。レコーディングエンジニアにはラリー・アレクサンダーが、参加ミュージシャンにはリック・マロッタ（ドラム）、トニー・レヴィン（ベース）、ドン・グロルニック（キーボード）が名を連ねました。

福岡は、英語でのコミュニケーションに苦労し、通訳として同行した折重静子とのやり取りの中で、専門用語の理解にも課題があったことが後に語られています。それでも、アルバム制作が進むにつれて、山下自身の音楽のビジョンはより具体的になっていきました。

収録楽曲

アルバムには多くの魅力的なトラックが収められています。特に注目すべきは、コーラスにカーリー・サイモンが参加した「LOVERステッカー」。この曲では、福岡がカーリーに日本語でのコーラスを依頼し、結果的にはお花をプレゼントすることで解決したというエピソードが印象的です。

さらに、ビリー・ジョエルがシンセサイザーを使用したトラックもあり、彼が松葉杖でスタジオに入ってくる様子は、アーティスト間の協力関係の温かさを感じさせます。トラック「今夜もBad Trip」や「気持ちいいじゃないTonight」など、楽曲は多彩で、彼女の幅広い音楽性を示しています。

アルバムの成果

『Sophia』は、山下久美子のキャリアにおいて欠かせない一作となっており、多くのファンに愛されています。アルバムが世に出ることで、その後の音楽活動にも大きな影響を与えることとなったのです。

特にシングル「こっちをお向きよソフィア」は注目を集め、B面に収録された「秋ラメきれないNight Movie」とともに、当時の音楽シーンに新たな風を吹き込みました。このアルバムは、リスナーに深い感動と共に、山下久美子の独自の世界観を届けてくれる一枚であることに間違いありません。

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