Spiral (SING LIKE TALKINGの曲)

「Spiral」は、日本のベテラン音楽グループ、SING LIKE TALKINGが2019年5月29日にユニバーサルミュージックよりリリースした、彼らにとって41作目のシングルに収められた表題曲です。

このシングルは、彼らがメジャーデビューから31年目に突入して初めて発表した作品となりました。さらに、ドラマ主題歌として起用されたシングルとしては、1998年リリースの26thシングル「Firecracker」以来、実に長いブランクを経ての実現となりました。

表題曲である「Spiral」は、テレビ東京系のドラマBiz枠で放送された『スパイラル〜町工場の奇跡〜』のために特別に書き下ろされました。楽曲制作にあたり、メンバーはドラマの原作を入念に読み込み、その世界観や登場人物の心情を深く理解した上で作曲・作詞に取り組みました。ドラマ制作サイドからの最も重要なリクエストテーマは「希望」でした。ボーカルの佐藤竹善は、この「希望」というテーマについて、単なる前向きさだけでなく、「限りなく現実的かつ冷酷な側面も見据えた上で、それでも見出すことのできる希望とは一体何なのか」という点を深く掘り下げ、それを音や言葉でどのように表現できるかを約1ヶ月間、頭の中で熟考し続けたと語っています。その結果、楽曲自体はわずか1時間ほどで完成したものの、その背景には長時間の内省があったことがうかがえます。

この楽曲に対して、ドラマで主演を務めた俳優の玉木宏氏は特別な印象を抱いたようです。彼は、「歌詞の世界観も、そして曲調も、『優しく力強い』という印象を受けた」と述べています。さらに、楽曲には「ちゃんと芯があり、自身が演じた芝野というキャラクターの気持ちにリンクしている部分がある」とも感じています。また、ドラマの舞台となる町工場の静かでどこか物悲しい雰囲気と、そこから再生しようとする力強さというドラマの核心部分が、この楽曲にぴったりと合致している、ともコメントしています。

「Spiral」のミュージックビデオには、若手俳優の眞栄田郷敦が出演しています。このミュージックビデオについて、佐藤竹善は次のような感想を述べています。彼は、楽曲の歌詞が描こうとした世界観が、映像のシンプルなストーリー展開、若者の日常を描いた描写、そして眞栄田郷敦の瑞々しい表情と演技によって、効果的に表現されていると感じています。ドラマが描く物語とは異なる視点から、登場人物が抱える心の奥深さや、人生における葛藤といった普遍的な感情が見事に映し出されている、と評価しています。

シングルには、表題曲「Spiral」の他に、カップリング曲として「Horizon Drive」が収録されています。加えて、注目のアーティストであるKan SanoとUQiYOが手掛けた、それぞれ異なるアプローチによる「Spiral」のリミックスバージョンも収録されており、楽曲の多様な解釈を楽しむことができます。

「Spiral」は、困難な状況下でも希望を見出し、再生へと向かう力強さを歌った楽曲であり、そのメッセージはタイアップドラマの世界観と深く共鳴しています。メンバーや主演俳優、そしてミュージックビデオ出演者のコメントからも、この楽曲が持つ多層的な魅力や、受け手に与えるインプレッションの強さが伝わってきます。それはまさに、長年のキャリアを重ねてきたSING LIKE TALKINGだからこそ表現し得た、成熟した「希望」の形と言えるでしょう。

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