SPRINGS

『SPRINGS』 - 米原秀幸による青春漫画

『SPRINGS』は、1990年代に活躍した漫画家・米原秀幸のデビュー作で、1989年に『ヤングチャンピオン』で連載されました。この作品は、若者たちの明るく、時に切ない春を描いた物語であり、ヤングチャンピオンコミック大賞を受賞するほどの人気を博しました。その後、連載は終了しましたが、長い間コミックス化されることはありませんでした。しかし、10年後の1999年に待望の単行本として発売され、描き下ろしのプロローグとエピローグも収められていてファンから喜ばれました。

ストーリーの概要

物語は、一人の男が故郷の街に帰ってくるところから始まります。彼の帰還は、まさに青春の季節である春の到来を告げるものであり、高校生活を舞台に展開される物語は「年がら年中はじけてるヤツラ」の意味を持つ「SPRINGS」という題名に象徴されるように、活力と無邪気さに満ちています。

主な登場人物

物語には個性豊かなキャラクターが登場します。主人公、香川 弘彦は、バンドのヴォーカルを務めるお調子者で、彼の明るさが物語を引っ張ります。また、都立栄里高校に転入してきたギタリストの斉藤 緑は、弘彦の良き仲間として重要な役割を果たします。内海 勝也は、かつて幼馴染だった緑や裕子と再会し、三角関係が芽生えることも。彼の彼女である裕子は、物語の中でその名前が変わるという奇妙なエピソードもあります。静かな性格の岡崎 悟は、絵が得意であり、彼の存在はストーリーに深みを与えています。保健室の先生、ちなつ先生は、弘彦に振り回される役割を果たし、紅香というバンギャの妹も登場し、さらにバンドメンバーとして草前 恵が加わることで、物語はますます賑やかになります。

書誌情報

『SPRINGS』は、秋田書店から出版された少年チャンピオン・コミックスに全1巻として収録されています。1999年5月に発売されたこの本には、本編9話に加え、前述の通りプロローグとエピローグが含まれています。ISBNは4-253-04386-0です。コミックスのエピローグでは、「岡崎悟」というキャラクターが作者自身のオマージュとして描かれており、読者に印象深いメッセージを伝えています。

補足情報

『SPRINGS』は、米原の初めての作品であり、時折冗談めかして「だまされていると思った」と振り返るように、そのデビュー作が巻頭カラーとして扱われたことは、当時の彼にとって驚きの出来事だったのです。物語の中のキャラクターたちは、青春の戸惑いや喜びを通じて人間関係の深まりを描き出し、懐かしさと共感を呼び起こします。

このように、『SPRINGS』は、青春とバンドの魅力を同時に感じさせる作品であり、今もなお多くの漫画ファンに愛されています。

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