Sustina

sustina（サスティナ）は、総合車両製作所（J-TREC）が展開するオールステンレス鉄道車両のブランドであり、同社の登録商標です。このブランドは、特に日本国外向けのステンレス車両に向けて制定され、2012年9月にはドイツ・ベルリンで開催された世界最大の鉄道関係見本市「InnoTrans2012」で世界にその存在が示されました。

名称の由来は、ステンレス鋼材の記号「SUS」、環境に優しく「持続可能」という意味を持つ英単語「sustainable」、そして地球環境を守る「女神」をイメージしたラテン語の語尾「-ina」を組み合わせた造語です。これは、ステンレス車体が持つ美しい見た目、強固な安全性、長期にわたる信頼性、そして高いリサイクル性による環境負荷の低減といった優れた特徴を象徴するために名付けられました。

J-TRECの前身である東急車輛製造は、長年にわたりオールステンレス車両の開発と製造を手がけ、車体構造の革新を通じてその進化を牽引してきました。特に2000年代からはレーザー溶接技術の開発に注力し、その成果を活かして、軽量で高剛性、高強度かつ低コストな次世代通勤車両の開発に取り組みました。J-TRECはこの技術を受け継ぎ、さらに発展させることで、次世代ステンレス車両の開発を加速させると同時に、国内外市場への展開を目指し、新たなブランドを構築することを決定しました。従来の車両が持っていた実用的で力強いイメージから脱却し、環境性能とデザイン性を両立させたスマートで洗練されたイメージへの転換が図られています。

国内市場へは、2013年に東京急行電鉄（現 東急電鉄）との共同開発車両である東急5050系の一部車両（サハ5576号車）に採用されたのが始まりです。ロゴデザインには特徴があり、海外向けは日本の国旗を連想させる赤い丸、国内向けは地球を模したデザインが用いられています。ただし、全ての車両にSustinaブランドが適用されているわけではなく、京浜急行電鉄や京成電鉄など一部の事業者や、小田急電鉄の5000形（2代目）のような特定の設計思想に基づく車両では採用されないケースも見られます。

Sustinaブランドの車両は、レーザー溶接をはじめとする先進的な次世代ステンレス構体技術の採用を基本としており、これにより車両の外観美、強度、そして軽量化が図られています。また、Sustinaは新しいメンテナンス体系に対応できる高信頼性を備えた次世代ステンレス車両全般を指すため、ハイブリッド車両や一部の海外向け車両など、必ずしもレーザー溶接を用いない第三世代構体技術をベースとしながらもSustinaブランドが付与されている例も存在します。

その技術的な特徴は多岐にわたります。まず、従来の軽量ステンレス構造を基本としながら、構体構造や骨組み、内装の徹底的な見直しにより、アルミニウム合金製車両に匹敵する軽量化を実現し、省エネルギー性能を向上させています。安全性にも力が入れられており、前面衝突に備えた衝撃吸収構造や衝撃吸収連結器を採用。側面衝突対策としては、車体骨組みをリング状に配置するとともに、「内装ロールバー構造」を導入し、デザイン性も兼ね備えながら乗客の安全を保護します。オフセット衝突に備えた構体各部の補強も施されています。

外観の美しさもSustinaの重要な特徴です。外から見える主要部分にレーザー溶接による連続溶接を適用することで、従来のスポット溶接で目立った溶接痕や継ぎ目がなく、非常にフラットで美しい外板を実現しています。メンテナンス性の向上にも寄与しており、レーザー連続溶接は、従来のスポット溶接の継ぎ目で必要だったシーリング材による水密・気密確保やその定期的な補修を不要にしました。

製造工程においても工夫が凝らされており、内装品の取り付け方法の見直しや、天井周りや妻面、配線などを外部で組み立ててから車体に取り付けるモジュール化を進めることで、製造全体の効率化とコスト削減を実現しています。

Sustinaは、車体長や扉数の違いに応じて、sustina S24（20m・4扉）、sustina S23（20m・3扉）、sustina S13（18m・3扉）といったシリーズが展開されており、JR東日本や大手私鉄、公営鉄道など、国内外の多数の車両形式でその技術が採用されています。高い技術力と環境性能、デザイン性を両立させたこのブランドは、現代の鉄道輸送における標準的な車両のあり方を示しています。

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