T-Series

スーパー・カセッツ・インダストリーズ・プライベート・リミテッド

スーパー・カセッツ・インダストリーズ・プライベート・リミテッド（T-Series）は、1983年にグルシャン・クマールによって設立された、インドを代表するレコードレーベルおよび映画製作会社です。特にボリウッドの音楽サウンドトラックやインディ・ポップ音楽のリリースに特化し、インド最大の音楽市場の35％を占める規模に成長しました。2014年時点では、T-Seriesはソニー・ミュージック・インディアやジー・ミュージック・カンパニーを凌ぐ存在として認知されています。

T-Seriesが設立された当初、同社は海賊版のボリウッド音楽を販売し、急速に成長を遂げました。しかし、その行動は著作権侵害に繋がり、訴えられる事態となりました。メディア戦略を駆使して難を逃れたT-Seriesは、その後も影響力を保持し続けています。2007年にはYouTubeに対し、「自由に音楽をアップロードできるのは違法だ」として訴訟を起こしました。この訴訟は、デリー高等裁判所がT-Seriesに対して音楽の著作権を侵害しないよう命じる判決を下すことで結着し、その後、2011年1月に両者は法的和解を果たしました。

T-Seriesの設立者、グルシャン・クマールは1997年にマフィアによって暗殺され、その後は息子のブーシャン・クマールと弟のクリシャン・クマールが会社を引き継ぎました。その後もT-Seriesは音楽業界での地位を拡大し続けてきました。

脱税問題

2018年には、ブーシャン・クマール会長に対する巨額の脱税疑惑が浮上しました。12月末には、従業員名義の銀行口座が25口座以上差し押さえられ、海外不動産や銀行口座もターゲットとなりました。この問題では、米国やドバイのブルジュ・ハリファなど、多額の投資が行われていたことが判明しています。さらに、インドの資産が偽の請求を通じて支払われた証拠も押収されました。

調査を行った当局は、従業員と資産の関連性が無く、全ての投資や資産移動がクマールの独断によって行われたとの声明を発表しました。しかし、具体的な脱税の詳細については、膨大なデータを網羅的に調査しない限り結論を出すことができないとされています。

T-Seriesは音楽業界での成功を収めつつも、その運営には暗い影が生じています。様々な訴訟や闇の問題を抱えながらも、インドのエンターテインメント業界において重要な役割を果たし続けています。

もう一度検索