T27装甲車

T27装甲車は、第二次世界大戦中の1944年に、アメリカ陸軍の需要に応えるべくスチュードベーカー社によって開発・試作された8輪の装甲車です。

開発経緯

当時、アメリカ陸軍は偵察や連絡、警備などの任務に使用できる装甲車の開発を各社に要請していました。スチュードベーカー社は、その要請に応えるべくT27装甲車を開発しました。

構造と特徴

T27装甲車は、8輪の駆動輪を持ち、そのうち第一、第二、第四組の車輪に動力が配分されるという特徴的な構造をしていました。これにより、不整地での走破性が向上すると期待されました。乗員は4名で、車長、操縦手、砲手、無線手を想定していました。武装は、主武装として37mm砲を1門、副武装として.30口径の機関銃を2挺搭載していました。これにより、敵の歩兵や軽装甲車両に対して十分な攻撃力を持つとされました。動力には、キャデラック製の8気筒ガソリンエンジンが採用され、路上での高い機動力を発揮できると期待されました。

試作と評価

1944年に2輌の試作車が製造され、アメリカ陸軍による試験が行われました。しかし、同時期にシボレー社が開発したT28装甲車との比較の結果、T28装甲車の方が性能面で優れていると判断されました。そのため、T27装甲車の量産は見送られることとなりました。

量産中止の理由

T27装甲車が量産に至らなかった主な理由は、競合車であるT28装甲車の存在です。T28装甲車は、T27装甲車よりも装甲が厚く、防御力が高かったこと、また、搭載されていた武装もより強力であったことが評価されました。加えて、T28装甲車の方が製造コストが低く、量産に適しているという判断もありました。

その後

T27装甲車は、試作車2輌が製造されたのみで、実戦に参加することはありませんでした。しかし、その設計思想や技術は、後のアメリカ軍の装甲車開発に影響を与えたとも言われています。

関連項目

モデル番号によるアメリカ陸軍車輌一覧（通称Mナンバーズ）
軍事技術

参考文献

http://www.warwheels.net/T27ArmoredCarINDEX.html
Encyclopedia of Armoured Cars Duncan Crow and Robert J. Icks
* Searching for Perfection: An Encyclopedia of U.S. Army T-Series Vehicle Development (1925-1958) David R. Haugh

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