T92軽戦車

T92軽戦車：アメリカの革新的な試作軽戦車

T92軽戦車は、アメリカ合衆国がM41軽戦車の後継として開発した試作軽戦車です。C-130輸送機による空輸を可能とするため、空挺戦車としての運用も計画されていました。

開発の背景と特徴

1953年に開発が開始されたT92軽戦車は、当時としては非常に革新的な設計が盛り込まれていました。フロントエンジン・フロントドライブ方式、トーションバー・サスペンション、そして車体後部に設けられた大型ハッチなどが特徴です。また、76mm砲には半自動装填・自動排莢装置が搭載され、砲手と車長には独立した銃塔が設けられた低姿勢型の砲塔が採用されました。

ターレットリング（砲塔搭載部）は大直径の2260.6mmで、これは将来的な派生型開発、特に自走砲型の開発を視野に入れたものでした。M24やM41といった過去の軽戦車シリーズと同様に、車体を共通化しつつ砲塔を換装することで、様々な用途に対応できる車両ファミリーを構築しようという意図がありました。

開発の中止とその後

1956年に最初の試作車が完成し、翌年には2両目の試作車が完成、1956年11月より試験が開始されました。しかし、各種の新機構に問題が多発し、偵察任務に用いる車両としては水上航行能力がないことが問題視されました。これらの問題を解決するには多大な予算と期間が必要となる上、水上航行能力と空輸/空挺投下能力の両立は困難と判断され、改めて別の空挺投下可能な軽戦車が開発されることになりました。結果として、T92軽戦車の開発計画は1959年に中止され、試作のみに終わりました。

現在、製作された試作車両は、メリーランド州アバディーンのアメリカ陸軍兵器博物館（アバディーン戦車博物館）にて保管・展示されています。その革新的な設計思想は、後の戦車開発に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

登場作品

T92軽戦車は、以下のゲームに登場します。

World of Tanks：アメリカ軽戦車「T92」として登場
World of Tanks Blitz：アメリカ軽戦車「T92E1」として登場（152mm砲を装備）

これらのゲームでは、プレイヤーがT92軽戦車を操作し、その性能を体験することができます。

まとめ

T92軽戦車は、試作に終わったものの、その革新的な設計思想は後の戦車開発に大きな影響を与えました。空挺戦車としての可能性を追求した意欲的な試みは、戦車開発史における重要な一頁を飾っています。

参考資料

Encyclopedia of safety＞Experienced South American light tank T92 (1952-1958)

関連項目

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