TAR/ター

映画『TAR/ター』概要

『TAR/ター』は2022年に公開されたアメリカのドラマ映画で、トッド・フィールドが監督・脚本を手掛けました。また、主演を務めたのはケイト・ブランシェットです。映画は音楽界の華やかさとその裏に潜む危険性を描き出しており、特にケイト・ブランシェットの演技が高く評価されました。

ストーリーの背景

物語の中心には、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の初の女性首席指揮者であるリディア・ターがいます。彼女は指揮者として絶大な評価を受けており、作曲家としてもその名を知られています。リディアは公にレズビアンであることを表明し、女性パートナーと共に生活し、養女を育てあげながら、自由な人生を謳歌しています。しかし、権力の頂点に立つ彼女は次第に冷酷な行動を取るようになり、教え子であるクリスタを精神的に追い詰めた結果、彼女が自殺してしまうという悲劇が起こります。

逆境に対峙するリディア

自らの行動の結果として、彼女はかつての信頼を裏切られ、権力を巡る争いに巻き込まれていきます。クリスタの死を受けて、リディアは彼女を非難するメールを送り続け、その内容が暴露され、社会的な非難の的となります。さらに、彼女の秘書であるフランチェスカも立場が逆転し、リディアに対抗するようになります。リディアは次第に孤立し、多くの人々からの信頼を失っていきます。

音楽と映像表現

映画では、職業的成功と個人の倫理観の葛藤が描かれています。また、映像には実際の演奏場面が取り込まれており、音楽がストーリーを彩る重要な要素となっています。特にリディアが指揮するシーンでは、観客に緊迫感や情熱を伝える独特な演出が施されています。

製作背景

フィールド監督は、脚本を執筆する際にケイト・ブランシェットの参加を前提に置いていました。そのため、役作りにおいてはかなりの努力が必要でした。ブランシェットはドイツ語やピアノの技術を磨き上げ、指揮の動きを映画によって学ぶことに力を注ぎました。撮影はベルリンで行われ、映画音楽を手掛けたヒドゥル・グドナドッティルからの楽曲も、映像に深みを与える要因となっていました。

公開と評価

『TAR/ター』は2022年9月1日のヴェネツィア国際映画祭で初上映され、観客からは大きな拍手喝采を得ました。興行的にも成功を収め、批評家からは特にブランシェットの演技が絶賛され、Rotten Tomatoesでは91%の支持率を獲得しました。ストーリーの核となるテーマは、名声に伴う権力の危険性を浮き彫りにしています。

結論

『TAR/ター』は、音楽界における指揮者の栄光とその光の陰に隠れた苦悩を描き出す作品であり、多くの視聴者に深い感銘を与えたことでしょう。映画の最後にリディアが迎える運命は、観る者に様々な解釈を促す魅力を持っています。

もう一度検索