TATTOO＜刺青＞あり

映画『TATTOO＜刺青＞あり』の概要とあらすじ

1982年に公開された日本映画『TATTOO＜刺青＞あり』は、実際の事件を基にしたストーリーが展開されます。この作品は、1979年に発生した三菱銀行人質事件の犯人である梅川昭美からインスパイアされた内容で、彼の生い立ちや事件に至るまでの道筋が描かれています。事件自体の詳細は触れられていませんが、主人公の竹田明夫の物語を通して、彼の複雑な心の葛藤や家庭環境が強調されています。

キャストとスタッフ

主役を演じるのは音楽家であり俳優でもある宇崎竜童で、彼が演じる竹田明夫は、母親に溺愛されながらも底辺で生きる若者です。また、ヒロイン役の関根恵子は、この作品で監督の高橋伴明と知り合い、後に結婚したことでも知られています。映画は高橋伴明にとって初の一般映画監督作品であり、プロデューサーは井筒和幸が務めました。

あらすじの詳細

物語は昭和38年の広島を舞台に、15歳の竹田明夫が強盗を働き、主婦を刺殺して少年院に送られるところから始まります。彼の母親、貞子は明夫に対して強い愛情を抱きつつも、互いに自我が強い関係性であることが描かれています。明夫は20歳で保護観察が解け、自由の身になるものの、またしても犯罪を犯して逮捕される生活を繰り返します。彼はその体に虚仮威のタトゥーを持ち、30歳での成功を夢見ていました。

大阪に移った明夫はキャバレーでボーイとして働き、ホステスの三千代に惹かれ、彼女を奪取するために猛烈なアプローチをします。彼は酔うと暴力的になりますが、シラフでは優しい一面を見せるという二面性を持っていました。彼はキャバレーの店長まで出世しますが、ある日、三千代が鳴海という全身タトゥーのヤクザに心を奪われていることを知り、激しい嫉妬に駆られます。

その後、実録小説に影響を受けて明夫は殺人に憧れを抱き、銀行強盗を試みることを決意します。しかし、最終的には相棒に裏切られ、一人で銀行に侵入した結果、警察に射殺されてしまいます。残された母親は彼の遺骨を郷里に持ち帰り、彼の人生は悲劇的に幕を閉じるのです。

興行と受賞歴

この映画は、関根恵子が『ラブレター』での成功を受けて高い期待を集め、全国でのロングラン上映を果たしました。さらに、作品は第4回ヨコハマ映画祭で監督賞や主演男優賞を受賞し、多くの映画ファンの心に残る名作となりました。

『TATTOO＜刺青＞あり』は、犯罪と人間ドラマが交錯する深い物語で構成されており、視聴者に深い印象を与えています。

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