TEN YEARS AGO

『TEN YEARS AGO』（テン・イヤーズ・アゴー）は、1985年11月28日にリリースされた矢沢永吉のセルフカバーアルバムです。この作品は、矢沢永吉のソロデビュー10周年を記念した特別企画として制作されました。1985年が矢沢のソロデビュー10周年にあたることから、キャロル時代の楽曲をセルフカバーするという、初の試みがなされました。

プロデューサーには、ジョン・マクフィーを迎え、前作『YOKOHAMA二十才まえ』とほぼ同時期にレコーディングが行われました。これにより、アルバム全体に統一感のあるサウンドが実現しました。ジャケット写真は、著名な写真家である篠山紀信が撮影を担当し、そのスタイリッシュな仕上がりが話題を呼びました。さらに、ブックレットには、キャロル時代の貴重な写真に加え、当時の思い出や心境を語った矢沢自身のコメントが散りばめられており、ファンにとっては非常に魅力的な内容となっています。

レコーディングでは「ルイジアンナ」も録音されましたが、アルバムには収録されませんでした。しかし、この楽曲は後に、1988年11月30日発売のシングル『くちづけが止まらない』のB面に、「ルイジアンナ -ニューヴァージョン-」として収録され、ファンを喜ばせました。

収録曲は、全曲が作詞：大倉洋一、作曲：矢沢永吉によるもので、キャロル時代の代表的なナンバーが並びます。具体的には、「ホープ」、「コーヒー・ショップの女の娘」、「憎いあの娘」、「やりきれない気持」、「ヘイ・タクシー」、「二人だけ」、「レディ・セブンティーン」、「0時5分の最終列車」、「ミスター・ギブソン」、「SHE BELONGS TO HIM（彼女は彼のもの）」、「最後の恋人」、「ファンキー・モンキー・ベイビー」といった、往年のファンには懐かしく、新しいファンには新鮮に響く楽曲が収録されています。

『TEN YEARS AGO』は、矢沢永吉の音楽的なルーツを再確認できるとともに、彼のキャリアにおける重要なターニングポイントを示す作品と言えるでしょう。キャロル時代の楽曲を新たな解釈で聴けるこのアルバムは、彼の音楽に対する情熱と、常に進化し続ける姿勢を強く感じさせます。

もう一度検索