THE DEFENDER (2004年の映画)

映画『THE DEFENDER』は、アメリカ、イギリス、ドイツ、そしてルーマニアが共同で製作したサスペンスフルなアクション作品です。本作は、国家の抱える秘密工作と、それに巻き込まれる人々の運命、そして予測不能な裏切りが織りなす緊迫したドラマを描き出します。

物語は、アメリカ大統領の女性補佐官を務めるジョーンズが、重要な平和会議への出席という名目でルーマニアへと向かう場面から始まります。彼女には、ベテランの護衛官ランスが率いるチームが同行し、その安全を守る任務にあたります。しかし、これは表向きの目的であり、ジョーンズには実際には「ある人物」と極秘で会談するという、より重要な任務が課せられていました。

ルーマニアの郊外、人影もまばらなホテルの一室で、ジョーンズは顔を隠した正体不明の人物と対面します。まさに密談が始まろうとしたその時、突如として謎の傭兵部隊がホテルを強襲し、平穏は破られます。ジョーンズと護衛チームは、予期せぬ激しい攻撃に晒され、応戦を強いられます。

激しい銃撃戦と混乱の中で、護衛官のランスは、ジョーンズの会談相手が、かつて自分がテロリストの一味に捕らえられ、非道な拷問を受けた際にその首謀者であったジャマールであることに気づき、強い衝撃を受けます。個人的な過去の因縁が絡み合い、ランスの心には複雑な葛藤が生じます。

しかし、事態はさらに意外な展開を見せます。目の前にいる人物は、テロ首謀者ジャマール本人ではなかったのです。そして、この一連の出来事、ホテルの襲撃を含む全てが、実はアメリカ大統領自身によって仕組まれた壮大な作戦の一部であったことが明らかになります。

大統領は、テロリストとの対話による平和的な解決を模索していましたが、国内には武力による強硬な対応を望む反対勢力が存在しました。特に、政府内部に「愛国者」と自称するグループが密かに活動し、大統領の失脚を企んでいました。大統領は、この内部の敵を炙り出すために、ジョーンズ補佐官にテロリストとの偽りの密談を演じさせ、グループが情報に反応して動き出すのを待つという巧妙な罠を仕掛けたのです。

傭兵部隊がホテルを襲撃したという事実は、偽の密談を知るごく限られた要人の中に「愛国者」グループのメンバーがいる確固たる証拠となりました。大統領は、集まる情報をもとに、着実にグループのメンバーを特定していきます。しかし、現場ではランスの護衛チームが壮絶な戦闘を繰り広げ、多くの部下たちが命を落としていきます。さらに悲劇は重なり、チームの中にも「愛国者」グループに思想的に共鳴し、情報を漏洩させていた裏切り者が存在したことが判明します。

混乱の拡大を受けて、事態の収拾を図るためにルーマニア軍も現場に介入し、戦闘はさらに複雑化します。最終的に、襲撃してきた傭兵部隊と内部の裏切り者による抵抗が排除され、全ての戦闘が終結した時、凄惨な現場で生き残っていたのは、護衛官ランスと補佐官ジョーンズ、わずか二人のみでした。

なお、本作の日本語吹き替え版では、主要キャスト以外の声の出演として、村松康雄、中村浩太郎、飯島肇、前島貴志、平井啓二、力丸ひろこ、ベイサイド雄一、おかみふみかつ、大原由美といった声優陣が参加しています。本作に関する詳細は、外部データベースであるallcinemaの「ディフェンダー」や、IMDb（英語）の「The Defender」でも参照可能です。
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