THIS IS ENGLAND

『THIS IS ENGLAND』(2006年)は、1983年のイギリスを舞台にした感動作です。フォークランド紛争で父親を失った10歳のショーンは、母親とロンドン郊外で暮らしています。学校では仲間から孤立し、孤独な日々を送っていました。そんなある日、彼はスキンヘッドのグループと出会います。

グループのリーダー格であるウディは、ショーンに優しく接し、彼を仲間として受け入れます。ショーンは新しい仲間たちと過ごす中で、少しずつ心を開いていきます。スキンヘッドのファッションに身を包み、仲間との絆を深めていくショーン。しかし、彼の平穏な日々は長くは続きませんでした。

かつてグループのリーダーだったコンボが刑務所から戻ってきます。コンボは過激な思想の持ち主で、移民排斥を主張し、暴力的な行動に出始めます。彼はショーンを含む数人を引き込み、極右組織に加入させ、移民への嫌がらせや恐喝といった犯罪行為を繰り返すようになります。

ウディやロルといったグループの他のメンバーは、コンボの暴走に反発し、彼から離れていきます。しかし、コンボは自身の過去に基づいた歪んだ正義感から、取り返しのつかない事件を引き起こしてしまうのです。ショーンは、友情と暴力、そして社会の闇の中で、自らのアイデンティティと向き合わなければならなくなります。

この映画は、1983年という時代背景、サッチャー政権下のイギリス社会、そして若者たちの葛藤をリアルに描いています。ショーンを演じるトーマス・ターグーズをはじめ、スティーヴン・グレアム、アンドリュー・シム、ヴィッキー・マクルア、ジョー・ギルガンなど、実力派俳優たちの熱演も見どころです。

映画版の成功を受け、2010年から2015年にかけて、『This Is England '86』、『This Is England '88』、『This Is England '90』と題されたテレビシリーズが制作されました。映画版と同じく、シェーン・メドウスが監督・脚本を担当しており、映画版で描かれた物語のその後が展開されています。

『THIS IS ENGLAND』は、単なる青春映画や社会派ドラマの枠を超えた、複雑で奥深い人間ドラマです。友情、暴力、社会問題、アイデンティティなど、多くのテーマが織り込まれ、観る者の心を揺さぶる作品となっています。時代設定や社会問題への関心の高さから、現在でも高い評価を得ており、多くの賞にもノミネートされています。時代背景や社会問題に対する知識を深めたい方、感動的な人間ドラマを観たい方におすすめの作品です。

主なキャストは以下の通りです。ショーン役にはトーマス・ターグーズ、コンボ役にはスティーヴン・グレアム、ミルキー役にはアンドリュー・シム、ロル役にはヴィッキー・マクルア、ウディ役にはジョー・ギルガンがそれぞれ出演しています。その他にも、ロザムンド・ハンソン、アンドリュー・エリス、ジャック・オコンネル、キアラン・ハードキャッスル、シャネル・クレスウェル、ソフィー・エラビー、ダニエル・ワトソン、ジョー・ハートリー、ペリー・ベンソン、ジョージ・ニュートン、フランク・ハーパー、ハンナ・ウォルターズといった俳優陣が出演し、映画にリアリティを与えています。

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