TIROS-N/NOAA

TIROS-N/NOAA 気象衛星プログラム

TIROS-N/NOAA（Television InfraRed Operational Satellite - Next-generation/NOAA）は、NASAが過去のTIROSおよびTIROS/NOAA衛星プログラムで得た技術を進化させ、現業利用を目的に開発された次世代の気象衛星プログラムです。このプログラムでは、NASAがその開発と打ち上げを担当し、NOAA（National Oceanic and Atmospheric Administration）が実際の運用を行っています。衛星は「NOAA-(番号)」形式で呼ばれ、運用開始以来、各種の気象データの提供に貢献しています。

NOAA衛星の進化

NOAA衛星プログラムの最終機として知られるNOAA-19が運用されていますが、その後継機としてJPSS（Joint Polar Satellite System）が開発中で、2017年以降の打ち上げが予定されています。このギャップを埋めるために、2011年10月28日にSuomi NPP（NPOESS Preparatory Project）が打ち上げられました。NPOESS（National Polar-orbiting Operational Environmental Satellite System）は、1994年からスタートした計画であったものの、プロジェクトの運営が不十分だったため2010年にはキャンセルされました。その結果、NOAAとアメリカ陸軍の衛星を別々に運用することとなりました。NOAAは午後に通過する軌道を、DoD（アメリカ国防総省）は早朝の軌道をそれぞれ利活用しています。NPPはこのような状況下、観測データの空白を埋める役割を担っているのです。

搭載されている測器

TIROS-N/NOAAの衛星には、様々な高度な測定機器が搭載されています。以下に主なものを示します。

Advanced Very High Resolution Radiometer (AVHRR)

AVHRRは、可視および赤外線を用いて日中と夜間の雲や海面の表面温度、植生指標などを測定します。これは5つの異なる波長で観測し、2,700kmの観測幅と1kmの空間分解能を持っています。

TIROS Operational Vertical Sounder (TOVS)

このサウンダは、気温や水蒸気量の鉛直分布を観測するための機器で、特にNOAA-15モデルには搭載されていません。

TOVS-Stratospheric Sounding Unit (SSU)

成層圏大気温度の垂直分布を観測する目的で設計されたこのユニットは、15μmの波長を使用します。

TOVS-Microwave Sounding Unit (MSU)

MSUは、マイクロ波を利用し、雲を介しての気温の鉛直分布を測定します。特定の周波数範囲で観測が行われます。

TOVS-High Resolution Infrared Sounder model 2 (HIRS/2)

赤外を用いて高解像度の気温鉛直分布を観測するための機器で、広範囲の波長にわたるデータを提供します。

Solar Backscatter UltraViolet (SBUV)

この測定機器は、紫外線の後方散乱を観測し、全球オゾン量を測定します。

Earth Radiation Budget Experiment (ERBE)

ERBEは、大気と宇宙間の放射エネルギーの交換を観測します。

Advanced Microwave Sounder Unit (AMSU)

AMSUは、NOAA-15から搭載されているマイクロ波サウンダで、地表から高度45kmまでの気温プロファイルを測定します。

人工衛星のリスト

TIROS-N/NOAAに関連する人工衛星は以下の通りです：

• - TIROS-N（1978 - 1981）
• - TIROS-N/NOAA 6（1978 - 1981）
• - TIROS-N/NOAA B（1980） - 軌道投入失敗
• - TIROS-N/NOAA 7（1981 - 1986）
• - TIROS-N/NOAA 8（1983 - 1985）
• - TIROS-N/NOAA 9（1984 - 1993、1997 - 1998）
• - TIROS-N/NOAA 10（1986 - 1991）
• - TIROS-N/NOAA 11（1988 - 1994、1997 - 1998）
• - TIROS-N/NOAA 12（1991 - 現在）
• - TIROS-N/NOAA 13（1993） - 打上げ後12日目に電源喪失
• - TIROS-N/NOAA 14（1994 - 現在）
• - TIROS-N/NOAA 15（1998 - 現在）
• - TIROS-N/NOAA 16（2000 - 2015） - 退役
• - TIROS-N/NOAA 17（2002 - 現在）
• - TIROS-N/NOAA 18（2005 - 現在）
• - NOAA-19（2009 - 現在） - NOAA最終機

このように、TIROS-N/NOAAは様々な高度な装置を駆使し、地球の気象データを集積する重要な役割を果たしてきました。今後のJPSSの運用が始まれば、新たなデータの獲得にも期待が寄せられることでしょう。

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