TJライナー

TJライナー：東武東上本線の快適な座席指定制列車

TJライナーは、東武鉄道東上本線で運行されている有料の座席指定制列車です。2008年 6月14日に運行を開始し、東上本線における約50年ぶりの有料列車として大きな話題となりました。特急「フライング東上」号とは異なり、列車愛称と列車種別を兼ねている点が特徴です。シンボルカラーは青、運行情報表示では橙色を使用しています。2010年には、運行開始と輸送形態改善に関する功績で日本鉄道運転協会から東記念賞を受賞しています。

名称の由来

TJライナーの愛称は、2007年末の一般公募で決定されました。「TJライナー」「おかえりライナー」「アシストライナー」の3候補の中から、「TJライナー」が最多得票を獲得しました。「TJ」は東上（Tōjō）の頭文字に由来します。後に導入された東上線系統の路線記号も「TJ」ですが、これは「Tōbu Tōjō」の頭文字から取られています。

運行概要

東武東上本線では唯一の有料列車であるTJライナーは、ふじみ野駅以北への速達性向上と快適な車内環境の提供を目的として運行されています。下り列車は夕方以降、上り列車は朝に運行され、乗客の通勤・通学需要に対応しています。ふじみ野駅以北では座席指定料金なしで乗車できますが、座席の確保はできません。

50090型電車を使用しており、TJライナー運行中はクロスシートで運用されます。この車両はクロスシートとロングシートの転換が可能なマルチシートを備えており、通常の通勤列車運用時にはロングシートになります。TJライナーの登場は、他社におけるデュアルシート車両を使った通勤ライナーの増加にも影響を与え、関東大手私鉄のライナー運行における転換点となりました。

2023年3月時点のダイヤでは、下り列車は平日15本、土休日11本、上り列車は平日5本、土休日3本が運転されています。ダイヤが大幅に乱れた場合は運休となる場合もあり、他の種別への変更も可能です。運行開始以来、順調に利用者を増やし、2011年以降も継続的に運行本数の増加や時間帯の拡大が図られてきました。

停車駅

下り列車は池袋駅から森林公園駅または小川町駅まで運行され、主要駅に停車します。一方、上り列車は森林公園駅または小川町駅から池袋駅まで運行され、下り列車と停車駅が一部異なります。上り列車は川越市駅を通過します。

使用車両

TJライナーには、運行開始に合わせて製造された50090型電車が使用されています。この車両は、客用扉間の座席がクロスシートとロングシートに転換可能なマルチシートを備えています。TJライナー運行時はクロスシート、通常の通勤列車運用時にはロングシートとなります。車端部の座席はロングシート固定です。

座席指定券

下り列車の座席指定券は、池袋駅から乗車する場合、乗車券に加えて別途370円（小児190円）必要です。ふじみ野駅以北からの乗車は乗車券のみで可能です。座席指定券は、池袋駅の自動券売機、窓口、チケットレスサービスで購入できます。

上り列車の座席指定券料金は乗車駅によって異なり、森林公園駅、東松山駅、坂戸駅、川越駅からの乗車は470円（小児240円）、ふじみ野駅からの乗車は370円（小児190円）です。自動券売機やチケットレスサービスで購入できます。上り列車は途中駅での降車はできません。

チケットレスサービスとQRコード

2009年9月より、チケットレスサービスが開始されました。インターネットを通じてクレジットカード決済またはTOBU POINTで座席指定券を購入し、QRコードを提示して乗車できます。このシステム導入と同時に、従来の着席整理券にもQRコードが導入されました。

運休時の払い戻し

全区間運休、池袋～ふじみ野間運休、または大幅な遅延の場合、手数料なしで払い戻し可能です。それ以外の場合は、発車前に申し出た場合のみ手数料100円を差し引いて払い戻しできます。

沿革

TJライナーは2007年に導入が発表され、2008年6月に運行を開始しました。その後、利用者の増加に伴い、運行本数の増加、時間帯の拡大、座席指定制への移行、サービス改善などが行われてきました。

特別運行

運行開始前には、愛称決定記念号、ハイキング大会向け臨時列車「七峰号」、運行開始直前の試運転「PRE TJライナー」などが運行されました。これらの列車は、特別な記念乗車券やイベントが実施されたこともありました。

TJライナーの歌

2008年に、ヤマハ音楽教室に通う小学生が作詞作曲した「TJライナー」の歌が発表され、CDが配布されました。

まとめ

TJライナーは、東武東上本線の新たな魅力として、利用者の利便性向上に貢献しています。快適な車内空間と便利なサービス、そして進化を続ける運行形態は、今後も多くの利用者から支持されるでしょう。

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