TOHOシネマズ天神

TOHOシネマズ天神：福岡の映画史を彩る歴史と変遷

この記事では、福岡市天神地区に存在した映画館「TOHOシネマズ天神」の歴史を詳細に解説します。同館は、その前身となる「福岡宝塚会館」から数えると、実に60年以上にわたる歴史を誇ります。数々の変化や統合を経て現在の姿になったその軌跡を、貴重な情報と共にたどっていきましょう。

福岡宝塚会館：黎明期の輝き

1957年4月20日、福岡市中洲に「福岡宝塚会館」が開業しました。宝塚劇場、スカラ座、東宝シネマ、東宝名画座の4つのスクリーンを備えた、当時としては非常に大きな映画館ビルでした。1904年から存在した芝居小屋「寿座」の跡地を利用し、多くの観客を魅了しました。

会館はその後、幾度かの改修や改名を経ます。1977年には東宝シネマと東宝名画座が「東宝シネマ1・2」に、1986年には5スクリーン体制へと拡張されました。スクリーン名も1993年には「福岡宝塚1・2・3・4・5」へと統一され、福岡の映画文化を支える中心的な存在として発展を続けました。

しかし、ビルの老朽化や中洲地区の治安悪化、そして外資系シネマコンプレックスの進出などの影響を受け、1997年3月14日に閉館。40年間にわたる歴史に幕を閉じました。閉館後、跡地は駐車場を経て、現在はホテルとして利用されています。

天神東宝→TOHOシネマズ天神：新たな時代へ

1997年3月15日、天神東宝ビルに6スクリーンのシネマコンプレックス「天神東宝」が開業しました。旧商業施設「エリア・ドゥ」の跡地に建設され、岩田屋本店本館前に位置する好立地を活かし、多くの人々で賑わいました。

2001年にはリニューアルオープン。チケット売場は1階に設置され、全てのチケットがそこで購入できました。2008年には九州東宝株式会社からTOHOシネマズ株式会社へと経営統合され、ブランドイメージの刷新が行われました。

2012年には、ソラリアシネマと統合し、「TOHOシネマズ天神」として生まれ変わりました。「天神東宝」は「本館」、「ソラリアシネマ」は「ソラリア館」となり、9スクリーンの大規模なシネマコンプレックスとなりました。東宝系シネコンとしては、TOHOシネマズブランドになる以前を含めても、旧天神東宝が第一号館となります。

本館閉館とその後

2016年9月、天神東宝ビル老朽化のため建て替えが発表され、2017年3月31日、「TOHOシネマズ天神本館」は閉館しました。跡地にはビジネスホテルが建設され、現在は営業しています。

「午前十時の映画祭」は本館閉館後、大洋映画劇場に移行しましたが、大洋映画劇場の閉館に伴い、現在はkino cinema天神で開催されています。

システムと各館の概要

TOHOシネマズ天神は全席指定・定員入替制を採用。チケットは本館1階とソラリア館7階で当日券に引き換えてから入場するシステムでした。PCや携帯からのチケット購入、シネマイレージへの対応など、現代的なシステムも導入されていました。各館とも全スクリーンがデジタル対応でした。

まとめ

「TOHOシネマズ天神」は、福岡の映画史において重要な役割を果たした映画館でした。その歴史は、単なる映画館の歴史にとどまらず、都市開発やエンターテインメント業界の変化を映し出す鏡でもあります。この記事を通じて、その歴史と魅力を改めて感じていただければ幸いです。

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