TURNING POINT (映画)

TURNING POINT

『TURNING POINT』（ターニングポイント）は、2022年から2024年にかけて公開された日本のシリーズ映画です。アイドルとしての成功を夢見る若い女性たちと、彼女たちを支えプロデュースする男性を中心に、華やかな芸能界の光と影、そしてそこに潜む様々な困難や人間関係のトラブルを赤裸々に描いています。本作は、監督であるハシテツヤ氏自身の経験談が色濃く反映された、実話ベースの物語としても知られています。

各EPISODEの概要

EPISODE1

物語は、グラビア活動を続けながらもアイドルになる夢を諦めきれない主人公・坂本凛の姿から始まります。一方、グラビアアイドル応援アプリの開発者である原辰也は、楽曲制作をきっかけにアイドルグループ「爆天グラマラス」のプロデュースを手掛けることに。彼はゲーム会社のスタッフと共にグループ運営に奮闘します。坂本はこのグループに加入し、個性豊かな8人のメンバーと出会いますが、当初は馴染めずにいました。メンバーたちはそれぞれの夢を追いかける中で、枕営業、パパ活、アダルトビデオへの勧誘、セクハラ被害、ストーカー被害、経済的な困窮など、芸能界の厳しい現実と向き合いながら、初のライブデビューを目指します。

制作面では、主演の坂本凛を演じる雛田真依羽のモデルは彼女自身であり、プロデューサー原辰也役のさがね・まさひろ（X-GUN）は監督のハシテツヤ氏がモデルとなっています。物語の原案には、雛田が過去に活動していたアイドルグループ周辺で実際に起こった出来事が取り入れられているそうです。主題歌は、さがね氏と親交のあるファンキー加藤氏とのコラボレーションで生まれました。また、劇中に登場する坂本の実家でのシーンは、雛田の実際の自宅で撮影され、母親役も本人の母親が演じるなど、リアリティを追求した演出が見られます。公開時のユニークなエピソードとして、2022年4月10日の上映会では、同日プロ野球で千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手が完全試合を達成中だったため、中継の影響で上映開始が遅れるという出来事がありました。

EPISODE2

ライブデビューを果たした爆天グラマラスでしたが、プロデューサーとしての経験が浅い原氏を疎ましく思う運営チーム内の勢力が現れ、原氏を排除しようと画策します。そんな中、原氏は別のアイドルグループ「神楽坂51」のプロデューサー藤本雅彦と出会い、Japan Idol Festivalへの出場をグループの新たな目標に定めます。藤本氏との関係が深まる中で、アプリ制作の依頼なども受けるようになりますが、事務所を辞めた坂本氏と原氏が親しくしていることが引き抜き疑惑を招き、原氏はついに運営チームから追い出されてしまいます。原氏はグループ名と楽曲は守るものの、残ったメンバーは吉村里緒のみとなり、グループは壊滅状態に。しかし、吉村氏の働くガールズバーでの出会いをきっかけに駒田詩織が新メンバーとして加入し、さらにキャバクラ勤務の岡本菜緒やSNS応募組の菅野こはる、戸郷ひかるらが集結。爆天グラマラスは2期生として再出発します。一方、藤本氏は自身が主催するイベントでの不正を持ちかけたり、新たなアイドルグループ「悩殺タイガース」を立ち上げ勢力拡大を図るなど、物語は新たな波乱を迎えます。

このEPISODEは、主演の雛田真依羽氏にとって、2022年末に芸能界を引退する前に出演した最後の作品となりました。また、広告代理店の社員役として、楽しんご氏と渋谷りゅうき氏がコンビで出演しています。キャストであるいしだ壱成氏が植毛治療を受けたことが縁となり、薄毛治療クリニックがスポンサーについたという異色の裏話もあります。

EPISODE3

病気療養から復帰した運営スタッフの木村氏と、メンバーの戸郷ひかる氏の秘密の交際が発覚し、メンバー間に亀裂が生じます。公私混同を嫌った中心メンバーの岡本氏はグループからの脱退を決意。一方、ミスヤングワンダーのイベントでの不正に関わった別所和美氏はネット上で激しいバッシングに遭い、自殺未遂を図るまでに追い詰められます。この事態は、ライバルグループである神楽坂51のメンバーにも動揺を与えますが、リーダーの長嶋幸子氏は毅然とした態度でチームをまとめようとします。プロデューサー藤本氏は、新たな恋人を中心とした「悩殺タイガース」のチーム作りを進めますが、古参メンバーからの反発を招きます。また、藤本氏から過去にセクハラ被害を受けた元マスクガールズの奥川じゅん氏は、依然としてトラウマに苦しんでいる様子が描かれます。

このEPISODEでは、いしだ壱成氏と実父である石田純一氏の親子共演が実現したことが特筆されます。また、後のEPISODE5で主要キャストとなる千咲てら氏が、このEPISODEのエンドロールに先行登場しています。

EPISODE4

プロデューサー陣の提案により、爆天グラマラスのメンバーである菅野こはる氏がソロアイドルイベントに出演し、雑誌に取り上げられるなど、グループの知名度が徐々に向上します。しかし、劇団代表の栄村氏が吉村氏と駒田氏に接近し、自身の劇団に勧誘するなど、不穏な動きを見せ始めます。別所和美氏の自殺未遂を受けて活動休止を決断した神楽坂51に代わり、Japan Idol Festivalへの出場権をかけた最後の1枠を巡るサバイバルオーディションが、藤本氏と根本氏によって企画されます。爆天グラマラスは、同じく出場を目指す悩殺タイガース、ブルースワローズといったライバルグループと、熾烈な戦いを繰り広げることになります。

このEPISODEはEPISODE3と同時期に撮影されており、EPISODE3公開からわずか1ヶ月後に公開されたという異例のスケジュールで制作されました。劇中の野球シーンに関連して、撮影後に行われた実際の試合で、出演者の大大大輔氏がホームランを放ったというユニークな裏話も伝えられています。

EPISODE5

メンバーの菅野こはる氏が、ライブ終わりに元交際相手から接近され、心配した他のメンバーがファンに助けを求める事態が発生します。一方、劇団代表の栄村氏は、吉村氏を自身の支配下に置くため、爆天グラマラスを壊滅させる計画を実行に移します。メンバーが次々とグループを去り、Japan Idol Festival直前にもかかわらずメンバー数は激減。運営側は森田氏が秋葉原で新たなメンバーをスカウトしたり、原氏の元交際相手の紹介で長野久恵氏が加入するなど、グループの立て直しに奔走します。また、藤本氏との確執を持つ元マスクガールズの奥川じゅん氏は、かつての仲間と共にグループ復活を目指しますが、藤本氏の妨害によって新たな困難に直面します。

このEPISODEはEPISODE6と同時期に撮影されました。主題歌のボーカルを務めるICHIDAI氏が俳優としても出演しています。また、渡辺美奈代氏の長男である矢島愛弥氏や、元プロ野球選手の前田幸長氏が友情出演している点も注目されます。

本作は、華やかなアイドル業界の舞台裏で起こる生々しいトラブルや人間ドラマを、実体験に基づく視点から描き出し、登場人物たちがそれぞれの困難に立ち向かう姿を通して、夢を追いかけることの厳しさと現実を描いた作品と言えるでしょう。

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