TVR・サーブラウ

TVR サーブラウ：伝説の怪獣の名を冠するハイパフォーマンスクーペ

サーブラウ（Cerbera）は、イギリスのスポーツカーメーカーTVRが1990年代後半から2000年代初頭にかけて製造・販売していた2+2クーペです。その名前は、ギリシャ神話に登場する地獄の番犬「ケルベロス（Cerberus）」に由来し、その強烈な個性と圧倒的なパフォーマンスを象徴しています。TVRの社長、ピーター・ウィラー氏の就任後、3番目のモデルとして登場しました。

設計思想と特徴

サーブラウは、1994年のバーミンガムモーターショーでプロトタイプが発表され、1997年に正式に発売されました。TVRの伝統にのっとり、シャシーには鋼管チューブラーフレームを使用し、ボディには軽量な繊維強化プラスチック（FRP）を採用しています。ボディタイプはクーペのみで、先代のグリフィスやキミーラと比較してホイールベースを280mm延長し、2+2シートの4人乗りを実現しました。サスペンションは、前後ともにダブルウィッシュボーン式を採用し、優れた操縦性と安定性を両立させています。

エンジンと動力性能

サーブラウの最大の特徴は、TVR初の自社製エンジンであるV型8気筒SOHC「AJP8」を搭載している点です。当初は4.2リットル仕様のみでしたが、すぐに4.5リットル仕様が追加されました。1999年には、4.0リットル直列6気筒DOHC「Speed Six」を搭載したモデルも登場しました。駆動方式はFRで、トランスミッションはLSD付きの5速MTのみが用意されています。

大排気量の高出力エンジンと、わずか1,100kgという軽量なボディの組み合わせにより、サーブラウの操縦難易度は非常に高いものとなっています。また、ABSやエアバッグなどの安全装備は一切搭載されておらず、ドライバーは純粋なドライビングスキルが試されます。

内装とデザイン

インテリアには上質なレザーがふんだんに使用され、曲線を用いたデザインが特徴的です。燃料残量計と時計はステアリングコラムの下に配置され、エアコンの吹き出し口も独特なデザインが採用されています。ドアの開閉には、ミラー下部にある白いスイッチを押すという、ユニークなギミックが用いられています。2000年にはフェイスリフトが実施され、ヘッドライトが大型の1灯から小型の3灯に変更されました。

生産終了と後世への影響

サーブラウは2005年に生産終了となりましたが、その圧倒的なパフォーマンスと個性的なデザインは、多くの自動車ファンを魅了し続けています。そのハイパワーFRレイアウトと軽量ボディの組み合わせは、現代のスポーツカーにも大きな影響を与えています。

関連事項

• - TVR
• - TVR・AJP8
• - TVR・Speed Six
• - TVR・サーブラウスピード12
• - TVR・キミーラ

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