TVパニック

TVパニック：ゲームソフト販売フランチャイズの盛衰

TVパニックは、かつて株式会社NESTAGE（旧株式会社明響社）が運営していたゲームソフト販売フランチャイズチェーンです。最盛期には約300店舗を擁しましたが、業界の変化の中で姿を消しました。ここでは、その誕生から終焉までの歴史を振り返ります。

オヤユビピアノからTVパニックへ

TVパニックのルーツは、1980年に浅沼丈二氏が神戸市東灘区に開業した「オヤユビピアノ」という店舗に遡ります。当時としては画期的な、レンタルスタジオ、喫茶店、レコードレンタル（店内テープ録音）の3つの機能を併せ持つ店舗でした。翌1981年、明響社として豊中市内にレコードレンタル店「オヤユビピアノ」を開業し、1989年にTVパニック1号店をオープン。翌年からフランチャイズ展開を開始しました。

ファミコン商標使用とJAG設立

1991年、TVパニックは他の有力FCと共に、任天堂と「ファミコン」の商標使用に関するライセンス契約を締結します。さらに翌1992年には、他のFCと共同でジャパンテレビゲームチェーン協会（JAG）を設立し、業界での存在感を高めました。

中古ゲーム問題とJAGの分裂

しかし、1994年にPlayStationが発売されると、その販売契約を巡って業界内で対立が起こります。TVパニックは、ソニー・コンピュータエンタテインメントの要求する「再販価格維持」「中古品売買禁止」を遵守する「服従路線」を主張し、他のFCと対立。これが原因で、JAGは1996年に空中分解してしまいます。

違法中古ゲームソフト撲滅キャンペーンとACES設立

1998年にコンピュータエンターテインメントソフトウェア協会（CESA）などが「違法中古ゲームソフト撲滅キャンペーン」を開始すると、テレビゲームソフトウェア流通協会（ARTS）が徹底抗戦の構えを見せました。しかし、明響社はボックスグループやブルートと共にテレビゲーム専門店協会（ACES）を立ち上げ、CESAに反抗しない姿勢を示します。しかし、2000年のPlayStation 2発売に際してソニーはACES各社に見返りを全く与えず、逆に「バックマージン全廃」を打ち出したことで反発を強め、TVパニック加盟FCも中古品売買を順次再開します。

中古ゲーム売買合法化と業界再編

2002年4月、最高裁判所は中古ゲームソフトの売買が著作権法に違反しないとの判断を下します。これを受けて、日本テレビゲーム商業組合が結成され、明響社も当初から参加。JAG解散以来の悲願であったゲームソフト販売店の組織一本化が再び実現しました。

NESTAGEへの統合とその後

2005年、創業者である浅沼丈二氏らが保有する株式の大部分がクインランドに売却されます。明響社は、同じくクインランド傘下となった同業のアクトと2006年2月に合併し、NESTAGEとなりました。TVパニックとwanpakuという両社のFCは、しばらくの間並行して存続する予定でしたが、その後、TVパニックの名前は市場から姿を消しました。

TVパニックは、ゲーム業界の変遷を象徴するフランチャイズチェーンでした。その盛衰は、業界の競争や変化の激しさを物語っています。

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