TWILIGHT ZONE

アルバム『トワイライト・ゾーン』

『トワイライト・ゾーン』は、吉田美奈子の5枚目のスタジオアルバムで、1977年3月25日にリリースされました。このアルバムは、彼女がRCA時代に制作した最後の作品です。吉田は以前から挑戦したいと願っていたソウルやジャズ、ゴスペルのスタイルを取り入れることができ、オリジナル曲の制作に完全に専念しました。

前作『FLAPPER』では、オリジナル曲が3曲だけでしたが、本作では彼女自身が作詞・作曲した全曲がオリジナルとなり、デビューアルバム『扉の冬』以来の完全な自己表現が実現しています。録音は、彼女自らのピアノ演奏を中心に、親しいメンバーによるリズムセクションを基に行われました。

吉田の原盤制作会社である「アルファ&アソシエイツ」との契約では、具体的な枚数の約束はありませんでしたが、ディストリビューターであるRVCとの間には枚数が規定されていました。この背景が、本アルバム『トワイライト・ゾーン』の制作につながりました。彼女は「もう一枚作ってほしいという期待に応えるために、ちゃんとしたアルバムを作ろうと思った」と振り返り、自己表現の場としてピアノを演奏しながらスタジオで「ライブのような録音」スタイルを取り入れました。

収録された楽曲は、音楽的にはジャズとみなされることが多く、ホーンセクションの活用がその要因となったこともあります。しかし、吉田自身はその表現をもとにした複雑な感情や思考を、シンプルに響きで表現していると述べています。このアルバムは、彼女が自身の音楽的立ち位置を再確認し、外部にアピールする重要なポイントとなりました。

加えて、本作で吉田とともに共同プロデュースを担当した山下達郎によれば、制作に当たっては全ての曲がレコーディング前に完成しており、しっかりとしたリハーサルが行われた後にスタジオに入りました。録音技術として、歌唱も同時に一発録りで行われ、スタジオで生演奏のような臨場感が生まれています。山下はその成果に満足し、「その時にやることが全て効果をもたらしている」と語っています。

このように本作ではジャズやソウルの要素を取り入れながらも、吉田美奈子の独自の世界観が維持されています。シングル『恋は流星 SHOOTING STAR OF LOVE』は同日にリリースされ、アルバムバージョンは7分近い内容で収録されています。さらに、ライブレコーディングにホーンセクションを追加した『Uptown』も別の作品で取り上げられるなど、多様なアプローチが見られます。

アルバムの収録曲は以下の通りです：

• - Side 1

1. Twilight Zone (Overture) 1:41
2. 恋 LOVE 8:01
3. 駆けてきたたそがれ RUNNER 4:20
4. メロディー MELODY 6:10
5. 恋は流星 SHOOTING STAR OF LOVE 6:46

• - Side 2

1. Uptown 3:50
2. Raspberry Slope 3:26
3. さよなら SAY JUST GOOD-BY 6:18
4. Twilight Zone 7:46

また、2014年にはこのアルバムのリマスタリング版がリリースされ、多くのファンに新たな形で届けられました。『トワイライト・ゾーン』は吉田美奈子の音楽的成長を象徴する作品であり、その表現の幅広さと深さを堪能できる貴重なアルバムです。

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