Tango Desktop Project

Tango Desktop Projectは、オープンソースのデスクトップ環境における多様なソフトウェアアプリケーションに対して、一貫性のあるユーザーエクスペリエンスデザインを提供することを目的としたプロジェクトです。このプロジェクトの主な焦点は、開発者がソフトウェアをデスクトップ環境と容易に統合できるようにすることにあります。

背景として、Freedesktop.org上の異なるデスクトップ環境（KDE、GNOME、Xfceなど）や、カスタマイズされたLinuxディストリビューション間でのビジュアルの統一性の欠如が挙げられます。この状況は、第三者がLinuxをターゲットにした開発を行う上で障害となっていました。Tango Desktop Projectは、このような問題を解決し、開発者がより簡単にクロスプラットフォームなアプリケーションを開発できるようにすることを目指しています。

このプロジェクトが、Bluecurveのように様々なデスクトップ環境で使用できるアイコンセットを配布することを目的としているという誤解がありますが、実際にはそうではありません。Tangoは、スタイル自体が視覚的に区別されるようにすることを目的とはしていません。むしろ、多様な環境でアプリケーションの外観を統一することに重点を置いています。

プロジェクトのもう一つの重要な目的は、各オペレーティングシステムで同時に実行されるアプリケーションの外観を適切に保つスタイルを確立することです。Tangoのスタイルガイドラインに従ってデザインされたアイコンを採用することで、ISV（独立系ソフトウェアベンダー）が開発したアプリケーションは、Windows XP、Mac OS X、KDE、GNOME、Xfceなどの様々な環境において、一貫した外観を維持できます。

外観に関するガイドラインに加えて、Tangoはアイコンの共通メタファーを提供することも目指しています。Tangoは、Freedesktop.orgのStandard Icon Theming Specification（標準アイコンテーマ仕様）に準拠しており、さらに、Freedesktop.orgのStandard Icon Naming Specification（標準アイコン名前仕様）を、一般的なアイコンと使用されるメタファーに対する名前を定義することで積極的に開発しています。

GIMP、Scribus、GNOMEなど、多くのフリーソフトウェアプロジェクトがTangoのスタイルガイドラインに従ってアイコンの開発を開始しています。これは、オープンソースコミュニティにおけるTangoの受け入れと普及を示しています。

また、ライセンスの規定に従う限り、プロプライエタリソフトウェアにおいてもTango Desktop Projectのアイコンを使用することが可能です。Tango Showroomには、VMware Workstation 6やMedsphere OpenVista CISなどがその例として挙げられています。

このように、Tango Desktop Projectは、多様なデスクトップ環境における視覚的な統一性を推進し、開発者がより簡単にクロスプラットフォームなアプリケーションを開発できるようにするための重要な役割を果たしています。

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