Tetris (NES)

NES版『テトリス』：知られざる名作とその魅力

『テトリス』（NES版）は、1989年11月に任天堂から発売されたファミリーコンピュータ用落ち物パズルゲームです。アレクセイ・パジトノフ氏考案のオリジナル版『テトリス』（1984年）を基に、ゲームボーイ版に続いてリリースされました。日本では長らく未発売でしたが、2024年12月12日に「Nintendo Switch Online」加入者向けソフトとして初登場を果たしました。

ゲーム内容

基本的なルールは、落ちてくるテトリミノを操作し、隙間なくラインを揃えて消していくという、お馴染みのものです。ゲームモードは2種類。

A-TYPE：テトリミノが上まで積み上がってゲームオーバーになるまでプレイ
B-TYPE：指定されたライン数（25ライン）を消すまでのハイスコアを目指す

ゲームボーイ版との違いとして、NES版は1人プレイ専用となっています。

BGMは3種類。

MUSIC - 1：チャイコフスキー作曲『くるみ割り人形』より「金平糖の精の踊り」
MUSIC - 2：ゲームボーイ版「TYPE B」のアレンジ
MUSIC - C：本作オリジナル曲

ハイスコア達成時には、ビゼー作曲『カルメン』より「第1幕への前奏曲」が使用されています。

B-TYPEでは、ゲーム開始前に設定した高さ（フィールドの初期配置ブロックの高さ）に応じて、エンディングに登場するキャラクターが変化します。0から5までの6段階で、それぞれ異なる任天堂キャラクターが登場します。

高さ0：『光神話 パルテナの鏡』のピット
高さ1：『ゼルダの伝説』シリーズのリンク
高さ2：『メトロイド』シリーズのサムス・アラン
高さ3：『ドンキーコング』シリーズのドンキーコング
高さ4：『スーパーマリオ』シリーズのクッパ
* 高さ5：『スーパーマリオ』シリーズのマリオ、ルイージ、ピーチ

高レベルでの技術的問題

A-TYPEでは、10ラインを消すごとにレベルが上がり、テトリミノの落下速度が上昇します。しかし、非常に高いレベルに到達すると、テトリミノの色が異常表示されるというバグが発生します。これは、整数オーバーフローが原因です。

レベル138で初めて発生し、レベル146と148ではテトリミノのコントラストが極端に低下し、「dusk（夕暮れ）」または「charcoal（木炭）」と呼ばれています。

さらに、レベル155に相当する約1550ラインを消去すると、ゲームがクラッシュする可能性があります。

13歳の少年によるクリア

2023年12月、13歳のウィリス・ギブソン氏が、レベル148の「charcoal」を初めてクリアし、レベル157でゲームクラッシュに陥りました。

テトリスは通常、テトリミノが上部に積み上がってゲームオーバーになるため、「クリア」という概念が存在しませんでした。ギブソン氏の偉業は、1989年の発売以来初めて「ゲームをクリアした」と見なされ、世界中で大きな話題となりました。

テトリスの版権を管理するザ・テトリス・カンパニーは、ギブソン氏を称賛する声明を発表しました。また、創業者であるアレクセイ・パジトノフ氏とヘンク・ブラウアー・ロジャース氏も、オンライン上でギブソン氏に賛辞を送りました。

NES版『テトリス』は、その奥深いゲーム性と、長年にわたってプレイヤーを魅了してきた歴史を持つ、不朽の名作と言えるでしょう。

もう一度検索