The Wake: Mourning Father, Mourning Mother

『The Wake: Mourning Father, Mourning Mother』

『The Wake: Mourning Father, Mourning Mother』は、韓国のゲームクリエイターSomiによって開発され、2020年7月11日にリリースされたゲームソフトです。この作品は、「罪悪感三部作」として知られるシリーズの第3作目となっています。本作は、異なるプラットフォームで異なるタイトルが付けられ、日本ではiOS/Android版が『ザウェイク』、Nintendo Switch版が『The Wake』として展開されています。

概要

物語は、命の終わりに近い男性が意識が朦朧とする中で執筆した回顧録を中心に展開します。回顧録のテーマは、彼の祖父の葬儀が行われた3日間に焦点を当てています。しかし、その裏には、父親が抱える借金や離婚、さらには子供を貧しいながらも健気に育てた母親に対する複雑な感情が渦巻いています。作者のSomiは、これらの物語が自身の実体験を基にしていると述べており、作中には彼の実際の写真やビデオが使用されています。この作品はフィクションでありながら、作者の個人的な感情や経験が色濃く反映されています。また、日本語版は、『Legal Dungeon』に続いて、ゲーム開発のプチデポットによる高品質な翻訳が施されており、プレイヤーに新たな体験を提供しています。

システム

『The Wake』のゲームプレイは、感情的な物語を解読することに重きを置いています。回顧録は男性が利用していた特殊な機械を通じて、英語で表示されます。画面の下部には翻訳字幕がついており、プレイヤーは自身の理解を深めることができます。通常のページは白字ですが、初めて表示される黄色のページには暗号が施されており、意味が通じない内容になっています。これらのページに関しては、シーザー暗号やキーワード暗号、日付キーなど、複数の暗号形式が提示され、それを解読しなければ内容を理解できません。

プレイヤーは、邸宅内に配置されたプラグを組み合わせることで文字を変換し、暗号を解く過程を通じて物語が進展します。5種類の文字が正しく接続された段階で解読完了となり、物語の真実が明らかになりますが、ゲームの進行と共に一部のランプが点灯しなくなるなど、解読の難易度が上がる工夫も施されています。

開発の背後

Somiは前作『Legal Dungeon』の後、自身のゲーム制作において、性的少数者に対する偏見に焦点を当てることを決意しました。このアイデアは、ドキュメンタリー映画や他の作品から影響を受けていましたが、学びを深めるうちに不安や恐れを感じるようになり、自分の表現に対する疑問が生じました。ところが、アリソン・ベクダルの漫画『ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』と出会ったことで、自身の体験について語る必要性を感じました。

また、ダヴィド・ラーゲルクランツの小説からエニグマに関する知識を得たことで、作品内容は大きく変わり、プレイヤー自身が感情に共鳴できるような深みのあるものとなっています。

主な受賞歴

本作は、その深い物語性と新しいゲーム性で高く評価され、2020年のGamescom Indie Arena Booth Awardsでは「Best Narrative Game」を受賞し、BIC Awardsでも「Excellence in Narrative」を受賞しました。また、Fun & Serious Game Festival 2020にもノミネートされており、国際的にも評価されています。

『The Wake: Mourning Father, Mourning Mother』は、感情豊かな物語と共に解読を楽しむ体験を提供しており、プレイヤーにとって強い印象を残す作品となっています。

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