宇多田ヒカルの楽曲「Time」は、
2020年5月8日に
エピックレコードジャパンから配信限定でリリースされました。この曲は、日本テレビ系
日曜ドラマ『
美食探偵 明智五郎』の主題歌として書き下ろされた作品で、
小袋成彬が共同プロデューサーとして参加しています。
楽曲の背景
「Time」という楽曲が誕生したのは、
2020年4月6日のこと。この日、宇多田はドラマの主題歌に新曲を書き下ろすことが発表されました。楽曲はドラマの初回放送に合わせて初めて披露され、宇多田にとっては日本テレビのドラマ主題歌を手がけるのは初めての経験でした。放送終了後には、短縮版のオフィシャルオーディオがYouTubeで公開され、多くのファンの関心を集めました。
この曲は、シングルとしてのリリースでは
2019年の「
Face My Fears」以来約1年3ヶ月ぶり、配信限定としては
2018年の「初恋」以来約2年ぶりの新曲にあたります。また、
令和元年に改元された後の初のリリースともなりました。興味深いことに、宇多田はリリース同時に
ストリーミング配信を行うことがなかったのですが、本作は例外的に配信サービスでも同時に解禁されました。
制作過程と音楽性
宇多田は率先してドラマの原作を読み、その世界観を理解した上で本楽曲の制作に取り組みました。楽曲の仮タイトルは、彼女の友人が使用している抗がん剤の名前であったことも明らかになっています。今回の制作には、宇多田と同じく
ロンドン在住の音楽家、
小袋成彬が共同プロデューサーとして参加しました。互いのデモ音源を聴き合って調整を行い、4ヶ月以上かけて作品を完成させました。
「Time」の音楽スタイルは、シンプルなアレンジと変則的なビートを特徴とするR&Bに分類されます。エレクトリック・ピアノのコード進行や808風のリズムが楽曲の基盤となり、またスネアの位置がずらされていることで独特のリズム感が生まれています。終盤にはビートレスのパートがあり、変則的なビートがスムーズになりながらも、最後までそのニュアンスを保ったまま楽曲は終了します。
パーカッションには、ハイハットやシェイカーが点として配置されており、独特の特徴が強調されています。
歌詞のテーマ
楽曲の歌詞には、固い友情で結ばれた人物同士の関係性が描かれていますが、その中には一方的な恋心が秘められているというテーマが盛り込まれています。これはドラマ『
美食探偵 明智五郎』における人物関係性とも関連しており、視聴者には普遍的な恋愛の切なさが平易な言葉で表現されている点が評価されています。
プロモーションと公開活動
楽曲のリリース前には、キャンペーンが展開され、オリジナルTシャツが抽選で配布されるイベントも行われました。また、
5月8日のリリース時には、「Time」の歌詞全編や、宇多田の手による英語詞が閲覧可能なサイトも公開され、このサイトは後に受賞することになります。
批評と反響
「Time」は、デジタルシングルランキングで初登場1位を獲得し、約7週間にわたりTOP20入りを果たしました。その人気ぶりは、
日本レコード協会からのゴールド認定にも表れています。また、ビルボードでも年間ランキングに名を連ね、多くのリスナーに受け入れられました。
ミュージックビデオ
ミュージックビデオの撮影は、宇多田がロックダウン中の
ロンドンにて行われ、映像は約2か月後に公開されました。監督は、アメリカのアーティストともコラボレーションを行っているAnthony GaddisとEric Tilfordが担当しました。このビデオは、現実と幻想の世界を融合させた内容で、視聴者に深いメッセージを伝えるものとなっています。
「Time」は、
宇多田ヒカルの音楽的な冒険の新たな一歩を示す作品であり、そのリリースは多くのファンにとって特別な意味を持つものでした。今後の彼女の音楽活動も注目されます。