Tu-104 (航空機)

Tu-104: ソ連初のジェット旅客機

Tu-104（ツポレフ104）は、ソ連のツポレフ設計局が開発したターボジェット双発旅客機で、1954年に初飛行しました。この機体は短中距離用として設計され、NATOからは「キャメル」というコードネームが付けられました。特筆すべきは、Tu-104が世界で営業運航された2番目のジェット旅客機である点で、アメリカ製の機体より早いデビューを果たしました。しかし、そのデザインは中距離爆撃機のTu-16を基にしており、いくつかの欠陥がありました。そのため、燃費が悪く運航コストも高いため、経済的な面では評価が低かったのです。

初期の導入と歴史的背景

Tu-104の存在が西側諸国に知られたのは1956年で、ソ連の指導者ニキータ・フルシチョフがイギリスを訪問した際に使用したことがきっかけでした。当時、イギリス製のコメットが構造上の欠陥により運航停止を余儀なくされ、ボーイング707やダグラスDC-8がまだ開発段階にあったため、ソ連によるジェット旅客機の就航は西側に衝撃を与えました。しかし、実際のところTu-104はその設計上、多くの面で課題があり、旅客機としての評価は分かれるものでした。

当初の旅客数は50名でしたが、胴体延長により最大で100名まで対応可能となりました。ソ連のアエロフロートは1956年にTu-104を初めて運航し、その後チェコスロバキア航空も同機を運用しました。特に注目すべきは、チェコスロバキア航空の機体の一部がアリタリア航空の塗装に変更されていた点で、冷戦時代における珍しい現象といえるでしょう。

技術的な問題と事故

Tu-104は、初期のジェット旅客機として設計上の未熟さを抱えていました。その結果、多くの事故が発生し、「史上最も危険なソ連製旅客機」と評されることもありました。201機が生産された中で、約5分の1に当たる37機が墜落し、1137人が犠牲となりました。その原因の一つとして、水平安定板の欠陥や空力設計の不十分さがありました。これにより、操縦不能に陥る危険性が高く、通常の航空機よりも高速での離着陸が必要とされました。

生産は1960年に終了しましたが、1981年まで旅客機として運航され、その後は軍用としての利用がされました。特に宇宙飛行士の移動用に改造された機体も存在しました。1986年には博物館への移送を最後に退役しました。

専用機と派生機

Tu-104は様々な派生型を持ち、最初の生産型は50名定員で、ターボジェットエンジンを2基搭載していました。改良型には定員が増加したものや、貨物輸送用、訓練用に改造された機体も存在しました。中には特別に宇宙飛行士向けに調整された機体もあり、航空機の多様性を示す例となっています。

結論

Tu-104は、ソ連における航空技術の進展を象徴する機体であり、冷戦時代のプロパガンダにも利用されました。その存在は、ジェット旅客機の発展に寄与したと言えるものの、多くの技術的課題と事故に悩まされました。本機の歴史は、航空機の進化を理解する上で重要な資源となっています。

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