Tu-123 (航空機)

ツポレフTu-123ヤストレブ

ツポレフTu-123ヤストレブ（ロシア語: Ястреб、タカの意）は、1960年にソビエト連邦で開発された最初期の無人偵察機です。この機体は「DBR-1」という呼び名でも知られ、実際の運用が開始されたのは1964年からです。

設計と特性

Tu-123は、長距離飛行能力を有し、高空を超音速で飛行する設計となっています。その形状はアメリカのロッキードD-21に似ており、戦略的な偵察を目的とした無人航空機です。搭載機器にはフィルムカメラとSIGINT（信号情報収集）装置が含まれています。

この機体は地上からの発進にJATO（ジェット・アシスト・タケオフ）を使用し、飛行中はKR-15ターボジェットエンジンのアフターバーナーを活用します。KR-15はR-15エンジンを基にしたコストを抑えたバージョンですが、耐用時間は短めです。R-15エンジンはMiG-25に搭載されたものであり、Tu-123は基本的に一次使用の機体として設計されており、装置をパラシュートで投下したのちには回収できない仕組みになっています。

開発の背景

この無人機は、当初はTu-121という超音速核搭載巡航ミサイル計画から派生したものでしたが、弾道ミサイルの方が優先されたため、開発が停止された経緯があります。その後、高度な偵察が求められる任務に特化した設計に改められ、1959年末に正式に計画が始まりました。

1960年8月16日には「DBR-1」として正式にプロジェクトがスタートし、最終的にツポレフ設計局の「1123k」からTu-123へと名称が変更されました。工場での試験は1961年9月に実施され、初飛行は1963年12月のことです。そして、最初の実戦配備は1964年5月23日となります。量産はボロネジ工場にて行われ、1964年から1972年までの間に52機が製造されました。

運用状況

Tu-123はソビエト連邦空軍の情報部隊に配備され、主に1979年まで西部の軍管区に配置されました。その特異な航続性能により、中央ヨーロッパ全域をカバーできる能力を持っていました。訓練の結果、安定した性能を発揮しましたが、使い捨てシステムの経済性に関しては課題が残りました。最終的には、着陸可能な滑走路を用意しなくても運用できる再利用版のTu-139ヤストレブ2が開発されることになります。しかし、Tu-123自体は量産に回されることはありませんでした。

この機体は次第に退役し、MiG-25を改造した偵察機MiG-25Rにその任務を譲り渡していったのです。

性能と諸元

• - 乗員: なし
• - 全長: 27.84m
• - 翼幅: 8.41m
• - 全高: 4.78m
• - 空虚重量: 11,450kg
• - 全備重量: 35,610kg
• - 主エンジン: ツマンスキーKR-15、推力98.1kN
• - 最大速度: 2,700km/h
• - 航続距離: 3,200km
• - 実用上昇限度: 22,800m

この無人偵察機は、当時の技術の進展を象徴する存在であり、その後の無人航空機の発展に影響を与えました。

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