Tu-8 (航空機)

Tu-8

Tu-8（ロシア語：Ту-8）は、ソ連におけるツポレフ設計局が開発した爆撃機であり、開発名はANT-69です。この機体は、長距離爆撃機としての能力を持つものとして設計されましたが、実際に製造されたのは試作機1機のみで、その後の開発は中止されました。

概要

ツポレフ設計局は、第二次世界大戦中に開発が進められていたTu-2を基に、より長い航続距離と爆弾搭載能力を持つ機体を目指していました。しかし、当時の計画はTu-2Dの開発において期待した成果を上げられず、構造的な不安定さが問題視されました。それにもかかわらず、戦後もこの計画は続けられ、ANT-69として新たな長距離爆撃機が開発されることになりました。

開発の初期段階で、Tu-8にはシュベツォフM-93エンジンが搭載される予定でしたが、技術的な課題からシュベツォフASh-82Mエンジンへの変更が余儀なくされました。加えて、機首部分や座席レイアウトが全面的に見直され、シート配置が縦列から並列に変更されました。機首が改造されたことで機体のバランスに影響が出ないように、尾翼も拡大となっています。

防御機銃は電動式で、胴体下部の機銃手は遠隔操作して銃塔を操作可能でした。また、艦載の照準器にはノルデンが搭載されており、最大で4,500キログラムの爆弾を運ぶ能力を持つことが求められていました。この設計コンセプトは、1947年3月11日にソ連の閣僚理事会に承認され、Tu-8という名前が与えられました。

試作機は1947年5月24日に初飛行しましたが、試験は思うように進まず、ある特定の問題、特に防御機銃に関する挑戦が継続的な試験の遅れを招く要因となりました。1948年8月23日には、ソビエト空軍による国家試験が実施されましたが、望ましい結果は得られませんでした。この結果、機体の重心移動や強度不足、発電機の容量不足などの多数の問題が立ちふさがりました。

ツポレフ設計局は、エンジンを変更したバリエーションとしてTu-8BやTu-8S、さらにはロールスロイスのジェットエンジンを搭載したTu-18といった提案を行いましたが、最終的には受け入れられず、ジェット爆撃機であるTu-14の開発が優先されることが決定したため、Tu-8の開発は中止されました。

技術スペック

• - 翼幅: 22.06 m
• - 全長: 14.61 m
• - 全高: 5.15 m
• - 翼面積: 61.26 m²
• - 最大離陸重量: 14,250 kg
• - 発動機: シュベツォフASh-82FN星形空冷エンジン ×2
• - 出力: 1,850 馬力 ×2
• - 最高速度: 507 km/h
• - 実用航続距離: 4,100 km
• - 実用飛行上限高度: 7,650 m
• - 乗員: 5 名
• - 武装:

- 機銃: ベレージンB-20 20 mm機関砲 ×5
- 爆弾搭載量: 最大4,500 kg

派生型

• - Tu-8：唯一製造された試作機。1947年5月24日初飛行。
• - Tu-8B：ミクーリン AM-42エンジン搭載案。計画のみ。
• - Tu-8S：チャロムスキー ACh-30エンジン搭載案。計画のみ。
• - Tu-18：Tu-8のエンジンをロールスロイス ニーン ジェットエンジンに換装した案。計画のみ。

以上のように、Tu-8はソビエト連邦の航空機開発における一つの重要な試みであり、その過程で多くの技術的挑戦があったことがわかります。

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