Tu-80 (航空機)

Tu-80: 謎に包まれた試作爆撃機

Tu-80（Ту-80トゥー・ヴォースィェミデェスャト）は、ソ連の著名な設計局であるツポレフ設計局が開発した爆撃機の一つで、Tu-4の延長線上に位置しています。この機体の初飛行は1949年12月1日に行われ、多くの改良が施されていることから、当時の航空技術の進化を象徴する重要な機体と言えます。

主な改良点

Tu-80の開発において最も顕著な改良点は、胴体の延長です。この設計変更によって、爆弾と燃料をより多く搭載できるようになり、戦略的な運用能力が向上しました。新たに採用されたアルミ合金の使用も、機体の強度と軽量化を実現し、飛行性能への寄与が期待されました。また、空力的な洗練も行われ、試作機ながら運動性能の向上が図られました。

さらに、Tu-4で採用されていた曲面ガラスは、視界に歪みや内部反射が生じる不評を受けて、一般的な段付き風防に変更されました。この設計変更は、後のTu-85やTu-95のモデルに引き継がれ、その結果、視界の改善にも寄与しています。

これらの改良によって、若干の性能向上は実現されたものの、エンジンは従来のものと同じため、飛行性能の飛躍的な向上には結びつきませんでした。そのため、Tu-80は試作機であるにも関わらず、結局1機の製造にとどまりました。

スペック

Tu-80の基本的な性能は以下の通りです。

• - 全長: 34.32m
• - 全幅: 43.45m
• - 全高: 8.91m
• - 翼面積: 167m²
• - 自重: 37,850kg
• - 最大離陸重量: 60,600kg
• - エンジン: ASh-73TK（АШ-73ТК）×4（2400馬力 / 1790 kW）
• - 武装: 20mm機関砲11丁
• - 爆弾搭載量: 12,000kg
• - 最大速度: 600 km/h（9,000m）
• - 実用上昇限度: 11,180m
• - 航続距離: 7,000 km（爆弾3t搭載時）

まとめ

戦後の冷戦時代において、Tu-80は技術革新の象徴として重要な意味を持つ機体です。改良が重ねられた結果、数多くの特徴が持ち味となったこの試作機は、実際の運用には至らなかったものの、その後の設計に影響を与え続けました。航空機の進化は、このような試作機の開発によって進められていくのです。

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