U-31

U-31

『U-31』は、綱本将也が原作、吉原基貴が作画を手がけたサッカー漫画です。2002年から2004年にかけて『モーニング』で不定期連載され、サッカーファンを中心に人気を集めました。タイトルは「ゆーさんじゅういち」と読むのが原作者の意図ですが、連載当時は公式な読み方が示されていなかったため、「アンダーサーティーワン」と扱われることもありました。

作品の特徴

この作品の舞台となる「ジェム市原」は、Jリーグのジェフユナイテッド市原・千葉がモデルとなっています。作中には、インターネット掲示板2ちゃんねるの国内サッカー板（特にジェフ市原スレッド）から生まれたネットスラングやネタが多数盛り込まれており、当時のインターネット文化に触れることができます。

2016年には、ジェフユナイテッド市原・千葉のクラブ創設25周年を記念して、同名タイトルで映画化されました。映画版では、漫画の世界観を忠実に再現しつつ、新たな解釈も加えられています。

ストーリー

物語は、主人公である河野敦彦が、アトランタオリンピックでの活躍後、Jリーグの東京ヴィクトリーでプレーしていたものの、戦力外通告を受けるところから始まります。失意の中、河野はかつて在籍していたジェム市原からオファーを受け、5年ぶりに古巣へ復帰します。再びレギュラーの座を掴み、日本代表への復帰を目指すため、河野は一から体を作り直す決意をします。

主な登場人物

河野 敦彦（こうの あつひこ）
主人公。「千葉のマラドーナ」の異名を持つ。アトランタオリンピック日本代表。ジェム市原に復帰後、チームを牽引する存在となる。モデルは前園真聖と城彰二。
戸澤 敏行（とざわ としゆき）
ジェム市原の若手エース。ボランチ。河野と対立しながらも、次第に認め合っていく。後にドイツ・ブンデスリーガへ移籍し、日本代表にも選出される。モデルは阿部勇樹。
山咲 佳奈（やまさき かな）
週刊フットボールマガジンの女性記者。河野との交流を通じて成長し、フリーライターとなる。河野を題材としたノンフィクション「U-31」を出版。
笠原 隆輔（かさはら りゅうすけ）
ジェム市原のベテランDF。河野とは旧知の仲。引退後、ジェム市原のコーチに就任。モデルは中西永輔。
西前（にしまえ）
ジェム市原の若手FW。明るい性格でムードメーカー。スーパーサブとして活躍。
瀧川（たきがわ）
東京ヴィクトリーの若手MF。戸澤をライバル視し、彼の移籍に伴いジェム市原へ移籍。
成田 剛士（なりた たけし）
東京ヴィクトリーのベテラン選手。引退後は解説者として活動。モデルは武田修宏。
シニーシャ・クラリィ
ジェム市原の監督。河野の才能を見抜き、開花させた。モデルはイビチャ・オシム。
藤堂 涼介（とうどう りょうすけ）
河野とアトランタ五輪でチームメートだったFW。ドーピングにより肉体強化し、日本代表でも活躍するが、薬物の影響で急死する。

連載終了とその後

2004年に連載は打ち切りとなりましたが、その後も様々な形で展開されました。ジェフ市原のサポーターサイトでスペシャルインタビューと幻の原作が公開されたり、サッカー専門紙で小説版が連載されたりしました。2006年には読み切り作品が掲載され、2008年には単行本未収録作品などを収録した完全版が発売されています。

『U-31』は、サッカーをテーマにした作品でありながら、挫折や再起、人間関係など、普遍的なテーマを描いた作品です。サッカーファンだけでなく、多くの人に共感と感動を与える作品と言えるでしょう。

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