U4 (三洋電機)

おしゃれなテレコ「U4」：時代を彩ったスリムなラジカセ

1979年、三洋電機から発売されたラジオカセットレコーダー「U4」は、そのスリムで横長のフォルムと「おしゃれなテレコU4」というキャッチコピーで、一世を風靡しました。それまで男性が主なターゲットだったラジカセ市場において、U4は若い女性をターゲットにした斬新なマーケティング戦略を展開し、大ヒットを記録しました。

若年層を魅了したマーケティング戦略

U4の初代機発売時、三洋電機は若い女性が鮮やかな赤色のU4を軽やかに持ち歩くイメージをテレビCMや雑誌広告で展開。「おしゃれなテレコ」というキャッチコピーとともに、愛らしいダックスフントのイラストを筐体にプリントし、親しみやすさを演出しました。さらに、「キレイになったね。スリムになったね。」という男性のナレーションを添えたCMも放映され、U4は若年層の女性たちの間で憧れのアイテムとなりました。

従来のラジカセは、高校生や大学生の男子が主なターゲットでしたが、U4は筐体色に赤、青、ピンクなどのカラフルな色を採用し、さらにパステルカラーのイエローやグリーンも展開するなど、徹底的に女性を意識した製品開発を行いました。

ラジカセ市場の盟主へ

U4投入以前から、三洋電機はラジカセ市場で大きなシェアを誇っていました。U4の登場は、そんな三洋電機をさらに押し上げ、初代機だけで100万台を売り上げる大ヒットとなりました。また、U4の成功は、日本のラジカセ市場全体の規模を拡大させる要因となり、1978年には約380万台だった市場は、1980年代には530万台にまで急成長しました。

U4の登場によって、「横長でカラフルなラジカセ」という新たな市場が生まれました。この市場には、他の家電メーカーも参入し、U4を模倣した製品を開発しましたが、三洋電機は長らくその首位の座を譲ることはありませんでした。U4は、80年代のラジカセのイメージを決定づけ、シリーズ累計で700万台を売り上げる大ヒットとなりました。

U4のメカニズムと進化

U4は、一見すると企画優先の華奢なラジカセに見られがちですが、実際には、特に初期モデルはしっかりとしたメカニズムを備えていました。1999年には、U4のフォルムを継承したMD-U4が発売され、2006年にはDIGITAL U4が登場するなど、時代に合わせて進化を続けました。しかし、2009年末までに生産・販売が終了し、30年の歴史に幕を閉じました。

U4の名称は、当時人気だったピンクレディーのヒット曲『UFO』に因んだもので、当初はステレオであることをアピールするために横長のフォルムが採用されたと言われています。

歴代機種

シングルカセットモデル

MR-U4: 初代U4。FM/AMステレオ、アナログレベルメーター搭載。
MR-U4MKII: AMSS機能搭載。ステレオ、2.0W x 2。
MR-U4MKIII: メタルテープ対応。
MR-U4SL: 薄型ボディ、LEDレベルメーター搭載。
MR-U4SX: 黒い部分を減らし、レベルメーターを廃止。
MR-U4SF: チューニングダイヤルスケールが斜め上方から見やすい。
MR-U4SS: アナログテレビ音声受信対応。
MR-U4SR: 再生オートリバース機構搭載。
MR-U4T: 単三電池仕様で携帯性を向上。
MR-U4M: 防水仕様のアウトドアモデル。
MR-V8: U4の上位機種、メタルテープ対応。
MR-V9: ドルビーNR搭載の上位機種。
MR-U4GP: ドルビーNR搭載。
MR-Q4: 天面にもスピーカー搭載の異色機種。

ダブルカセットモデル

MR-WU4: 初代ダブルカセットモデル。
MR-WU4MKII: テレビ音声対応。
MR-WU4MKIII: テレビ音声多重・ステレオ放送対応。
MR-WU4UV: UHFテレビ音声対応。
MR-WU4L: 廉価モデル。

CD内蔵モデル

MR-U4CD: 初代CD内蔵モデル。

MD搭載モデル

MD-U4: MDデッキ搭載モデル。PC接続対応。

DIGITAL U4

MAJ-U4CT1: カセット、CD、SDカードスロット、USB端子搭載。

U4の模倣品

U4のヒットを受け、他社からも同様の横長でカラフルなラジカセが多数発売されました。主な模倣品としては、以下のようなものがあります。

ソニー: CFS-F10「YOKOHAMA」、Metal365、Metal101
松下（現・パナソニック）: LOVE CALL
東芝: SUGAR、BOMBEAT mini
アイワ: Foot Work
シャープ: QTシリーズ
日立: PERDISCOシリーズ
パイオニア: Ranawayシリーズ（SK-200）
日本ビクター（現・JVCケンウッド）: RC-S**シリーズ

U4は、日本のオーディオ史にその名を刻む名機として、今も多くの人々に愛されています。

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