UBASUTE

ドラマ「UBASUTE」の魅力

「UBASUTE」は、2014年12月29日に北海道テレビ放送（HTB）で放映された日本のテレビドラマです。この作品は、現代社会が抱える問題である若者の就職難や高齢化社会に焦点を当て、北海道札幌市を舞台に展開されます。主演の大和田健介が演じる冬馬と、波瑠が演じるダイアナとのネット上での交流を軸に物語は進行します。

ストーリーの概要

物語は、ネットカフェを寝床にして生活する27歳の冬馬が、日々のアルバイトをこなしながらその日暮らしを続けるところから始まります。就職が決まらず、社会にうまく適応できない冬馬は、「年金暮らしが多い世の中のせいだ」と自己中心的に考えていました。彼はある日、ブログ『UBASUTE』の存在を知り、その発信者である謎の女性ダイアナと交流を始めます。

ダイアナは非常に穏やかで落ち着いた性格であり、年齢は冬馬と同じくらいに見えますが、実は高齢女性のトシエが彼女の正体です。トシエは老人ホームで孤独な日々を過ごしていましたが、パソコンとブログを始めることで自分自身を表現できる場を得ました。

冬馬はダイアナとのコミュニケーションを通じ、他者を責めるだけの生き方を見つめ直し、次第に前向きな気持ちを持つようになります。彼は努力の末、ネットカフェ暮らしから脱出して、自身の夢だった職業に就くことに成功します。

出会いの約束

冬馬はダイアナに感謝の気持ちを伝えようと、ネット上ではなく直接会うことを決意します。トシエは、自分の姿を偽っていたことに対する恥ずかしさを抱えながらも、彼に会う勇気を振り絞ります。晩秋の旭山記念公園で彼を待つ冬馬と、少しずつ近づくトシエの姿が描かれ、二人の出会いの瞬間が緊張感を持って展開されます。

キャストとスタッフ

本作品のキャストには、冬馬役の大和田健介、ダイアナ役の波瑠、高齢女性トシエ役の草村礼子が名を連ねています。スタッフとしては、企画・脚本・監督・演出を担当した海野祐至が特に注目されており、彼の独自の視点が物語を豊かにしています。海野は、普段の取材で感じた疑問や思いをもとに、この作品を生み出したと言われています。

作品の評価

「UBASUTE」は、社会問題を取り扱っただけでなく、SNSを通じた人と人とのつながりを描く新しい表現方法にも注目されました。放送番組審議会では、若者と高齢者の悩みを丁寧に描写し、地域性を超えた普遍的な物語性が評価されました。また、優れた映像表現や美しい札幌の風景が作風に華を添えています。

一方で、作品には厳しい意見もあり、主人公の冬馬が高齢者に対して抱く感情が過剰である点や、キャラクター間の対比が不十分であるとの指摘も見受けられました。それでも、同作は2015年度の様々な映像コンテストで受賞を果たし、そのアピールを国内外に広げています。

「UBASUTE」は、ただのテレビドラマに留まらず、視聴者に考えさせ、心を響かせる作品として多くの人々に愛され続けています。

もう一度検索