UQiYO

UQiYO（ウキヨ）は、ボーカリスト、作詞家、作曲家、編曲家、そしてトラック制作からマスタリングまで全てを自身で手掛けるYuqiを中心とした日本の音楽プロジェクトです。彼らの活動は東京を拠点に展開され、一般的な音楽活動の枠に収まらない、実験的かつ総合的な表現を追求しています。

音楽性と活動スタイル

UQiYOのサウンドは、アンビエントやフォークトロニカといったジャンルを軸に、洋楽的な感性が色濃く反映されています。多様な音楽ジャンルの要素を融合させたグローバルな響きは、Yuqiの持つ自在で透明感のある歌声と相まって、聴く者をダイナミズムあふれる壮大な音世界へと誘います。彼らは「音楽を、音以上の体験として提供したい」という独自の哲学を持ち、日常に溶け込みながらも、その心地よさや届け方によって非日常を創出することを目指しています。

活動の変遷と国際的な展開

プロジェクトは2010年末、YuqiとPhantao（後に脱退）によって「Phisico」としてSoundCloudでデモ音源を公開したことから始まりました。その後、名称を「UQiYO」と改め、2013年に1stアルバム『UQiYO』をリリース。国内ではCDショップの「Album of the Month」に選出されたり、大型フェスであるライジング・サンやサマーソニックに出演したりするなど、活動の場を広げました。J-waveのジングルや全国版TVCMへの楽曲提供など、クライアントワークの実績も重ねています。

近年特に顕著なのは、活動の軸足を国外へと広げている点です。マレーシアのFroya、台湾のI Mean Us、シンガポールのMARICELLEといったアジア各国のミュージシャンとの共作による楽曲リリースを積極的に行っています。2020年には、日本人アーティストとして初めてシンガポールのインディーレーベルUmami Recordsと契約し、アジアでの存在感を高めました。また、Spotifyなどのストリーミングサービスを通じて海外のリスナーを獲得しており、グローバルなリスニングトレンドを示すプレイリストにも楽曲が多数選出されています。

プロジェクトにはメンバーの変動もあり、2015年にはドラマーのSimaが正式加入しましたが、2017年にはキーボードのPhantaoが脱退し、現在はYuqiが中心となって活動しています。2023年5月には活動休止を発表し、今後は俳優の満島真之介とのユニット「Omr」としての活動に注力していく意向を示しています。

Yuqiによる多角的な音楽活動

UQiYOとしての音楽制作やライブ活動に加え、Yuqi個人としてもその音楽性は多岐にわたります。彼は様々なTV番組のBGM、CM音楽、劇伴などを数多く手掛けており、そのサウンドはメディアを通じて広く届けられています。

音楽を超えた実験的なプロジェクト

UQiYOの活動の最大の特徴の一つは、単なる楽曲発表やライブ演奏に留まらない、音楽を軸にした実験的でコンセプチュアルなプロジェクト展開です。

SUMMER SUNS (2013): 夏の空気を閉じ込めた音源をボトルに入れ、「ボトルの中の手紙」としてリスナーに届ける試み。
THY LUV (2013-2014): 2つの異なる楽曲を毎週アップデートし、約2ヶ月かけて融合させるオンライン連載企画。後にゲストボーカルを迎えたミュージックビデオも制作。
151A -浮遊する歌- (2014-): 「限定1枚」のシングルCDを特製トランクケースに入れ、人々の手から手へと渡しながら全国を旅させるアートプロジェクト。郵送は禁止で、必ず自分より南に住む人間に手渡すというルールがあり、音楽作品でありながら壮大なリレーとして現在も形を変えながら続いています。

これらのプロジェクトは、音楽を聴覚だけでなく、物質や時間、人との繋がりといった様々な要素と結びつけ、「体験」としての価値を高めようとするUQiYOの独創的な姿勢を体現しています。

独自の音楽観と造語

中心人物であるYuqiは、自身の音楽や活動に対する独自の考え方をいくつかの造語で表現しています。

エレクトロハス: エレクトロニックミュージックとロハス（LOHAS）を組み合わせた言葉。文明の利器を適度に使いながら、楽しく健康的に、持続可能な生活を送るイメージを音楽で表現。都会的でありつつ自然との調和も重視する、バランスの取れたエレクトロニックサウンドを指します。
パーソナル・ミュージック: 大衆に向けた「ポピュラーミュージック」の対義語として提唱される概念。地下（アングラ）ではなく、聴く人それぞれの心に深く寄り添う、極めて個人的な音楽を追求する姿勢を示しています。
ヒューマン・エレクトロ: エレクトロニックサウンドが持つ非人間性から一線を画し、人間に寄り添う温かみと情感を備えた音楽。

これらの造語は、UQiYOの音楽が単なるサウンドの羅列ではなく、明確な思想や哲学に基づいていることを示唆しています。

クリエイターとの連携

UQiYOの活動は、音楽分野に留まらず、多くの異分野クリエイターとの密接なコラボレーションによって成り立っています。デザインスタジオTWOTONE、カメラマンの鈴木陽介、augment5 Inc.、spfdesign、水墨画家の浦正など、映像、デザイン、アート、パフォーマンスといった多種多様な才能との協働は、UQiYOの音楽世界をより豊かにし、「体験」としての音楽というコンセプトの実現に不可欠な要素となっています。

作品とクライアントワーク

彼らはこれまでに複数のアルバム、多数のシングルをリリースしており、その中には映像作品やユニークな形態の作品も含まれます。また、Google、Global Work、マザーハウス、モスバーガーといった国内外の企業とのクライアントワークも数多く手掛けており、その音楽は様々な形で私たちの日常の中に溶け込んでいます。

UQiYOは、その独創的な音楽性と、型にはまらない表現活動を通じて、国内外の音楽シーンにおいてユニークな存在感を示し続けています。

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