USERS

USERS (Unmanned Space Experiment Recovery System)

USERSは、地球の周回軌道上で宇宙実験から得られた成果物を無人で回収できる、日本で初めて実用化された自律帰還型回収システムです。このシステムは、無人宇宙機とそれを支える地上システムから成り立ち、研究機関や企業に宇宙実験の機会を提供します。これにより、日本は外国の宇宙ステーションに依存せず独自の宇宙実験を実施できる体制を整えました。

システム構成

USERS宇宙機は、二つの主要なモジュールで構成されています。ひとつは、サービスモジュールで、これは軌道上での電力供給や通信、軌道・姿勢制御などの機能を担います。もうひとつは、リエントリモジュールで、地上への自律帰還を行います。この二つのモジュールは一体となり、ロケットによって打ち上げられることが特徴です。

サービスモジュールは、三菱電機が開発したSERVISバスを基に多くの共通部分を有し、効率的な運用が可能です。リエントリモジュールは、回収すべき実験機器を載せるための釣鐘型のカプセルで、数ヶ月間にわたる宇宙実験後に、軌道から離脱します。

運用と回収

宇宙実験が終わると、両モジュールは分離され、リエントリモジュールは自身の軌道離脱モータを使用して、大気圏へと再突入します。再突入時には、外部に装備されたヒートシールドが熱と圧力から保護します。その後、約10kmの上空でパラシュートを展開し、徐々に着水します。リカバリービークルは、その際に浮遊用のバッグを展開し、GPSデータを持つビーコン信号を発信しながら回収を待ちます。

回収作業は航空機を使用して位置を特定し、海上で船によって行われます。多様な条件に応じて地上回収も可能で、回収後には機器が工場に運ばれ、点検や分解が行われます。また、利用者の要望によっては、船上での受け渡しも行うことができます。さらに、回収を必要としない実験機器は、サービスモジュールに載せて運用することも可能です。

初回利用と成果

USERSの初めての利用として実施されたのは、超電導材料の製造実験でした。このプロジェクトは、微小重力環境を活用し、地上では実施が難しい材料の製造を目的としています。成功した実験により、これまで未知であった超電導材料製作手法に関する重要な知見を得ることができました。

初号機は2002年9月に打ち上げられ、約8ヶ月後の2003年5月30日には、超電導材料を載せたまま大気圏を突破し、無事に海に着水しました。回収作業も順調に進み、実験の成果を地上に持ち帰ることに成功しています。

開発と運用機関

この画期的なシステムは、一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構によって開発されました。サービスモジュールと全体システムは三菱電機が、リエントリモジュールおよび回収に関しては日産自動車の宇宙航空事業部が担当しています。

外部リンク

詳細な情報については、一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構の公式ウェブサイトをご覧ください。

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