V-107 (航空機)

V-107ヘリコプター

V-107は、バートル社によって開発されたタンデムローター式のヘリコプターで、主にアメリカ海兵隊や自衛隊に採用されています。本機は双発のターボシャフトエンジンを装備し、優れた輸送能力を誇ります。また、民間用途でも運用されました。

開発背景

1956年にバートル社は発足し、アメリカ海軍向けにヘリコプターの開発を進めていました。この時期、朝鮮戦争でヘリコプターの有用性が認識され、要求分析を経て1957年にV-107の試作機が製造されました。N74060として知られるこの試作機は、1958年に初飛行を成功させました。

V-107の設計

V-107はタンデムローター構造を採用し、ライカミングT53ターボシャフトエンジンを2基搭載しています。キャビンは23～25名の乗客を収容可能で、貨物の積み降ろしが容易なように設計されています。また、特に民間運用時には着水が可能となる機能もありました。

アメリカ軍での活用

1960年代から1970年代にかけて、アメリカ軍はV-107を輸送ヘリコプターとして多数導入しました。海兵隊ではCH-46として知られるモデルが採用され、特にベトナム戦争での運用が注目されます。CH-46Aやその後継モデルは、880,000時間以上の実戦飛行を行い、多くの任務を遂行しました。

ヘリコプターの進化

さらに、性能向上のために改良を重ねたCH-46DやCH-46Fが導入され、最大輸送能力を持つ機体として進化しました。これにより、増加した兵員や貨物の輸送に対応しました。全体で264機が海軍に、360機が海兵隊に配備されることとなります。

日本における運用

日本では川崎航空機がV-107のライセンス生産を行い、自衛隊においても利用されました。海上自衛隊では航空掃海任務に特化したKV-107が導入され、陸上や航空自衛隊でも運用されました。それぞれの部隊で求められる機能を盛り込み、日本特有の用途に適応してきました。

自衛隊の使用実績

特に、陸上自衛隊ではKV-107II-4を使い、主に兵員輸送を行っていました。このタイプは26名の兵員を収容可能であり、搭載能力も高かったため、様々な場面での運用が可能でした。さらに、航空自衛隊では救難任務専用のKV-107II-5型が導入され、救助活動に貢献しました。

海外での利用

海外においても、V-107は多くの国で採用されました。カナダやスウェーデンでは、救難や輸送任務に活用され、民間企業でもヘリコプターとしての運行が行われていました。特にカナダでは、CH-113として救難専用機として配置された機体もありました。

歴史的意義

V-107は、その特異な設計と多用途性から、数十年にわたって様々な航空作戦に貢献してきました。老朽化が進んだ後もその実績はなお多くの人々に記憶されています。近代のヘリコプターの礎を築いたと言えるでしょう。

今後もV-107の運用や研究が続けられることが期待され、航空史の中で重要な位置を占める存在として語り継がれていくことでしょう。

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