VJ (アーケードゲーム)

『VJ』は、1999年にジャレコが発売したアーケード音楽ゲームです。当時、人気を博していたコナミ（後のコナミアミューズメント）の『beatmania』シリーズに対抗するべく開発されました。本作は、音楽に合わせてボタンとハンドルを操作し、視覚的なエフェクトも同時に楽しむことができるという、革新的なゲームシステムを採用していました。

ゲーム概要

専用の大型筐体には、各プレイヤー用に6つのボタンと8方向の水平スライドハンドルが備えられています。操作用のディスプレイの上には、ビジュアル画面用のディスプレイが3つ設置されており、音楽と連動したエフェクトが映し出されます。プレイヤーは、音楽のリズムに合わせてボタンを押し、ビジュアル画面の映像エフェクトを操作することでゲームを進行させます。このビジュアル画面はプレイ画面の上部に配置されているため、ギャラリーにプレイをアピールする効果もありました。

ゲームルール

操作用ディスプレイには操作譜面が流れ、音楽パートでは3つのボタンを、映像パートでは3つのボタンとハンドルを操作します。ボタンを押すタイミングが正確であれば、対応する音が鳴ったり、映像がスムーズに切り替わりますが、タイミングを外すとホワイトノイズ画面が表示されます。タイミング良く操作を続けることでゲージが上昇し、逆にタイミングが悪いとゲージが減少します。曲の終了時にゲージが一定以上であればステージクリア、満たない場合はゲームオーバーとなります。これは『beatmania』シリーズと同様のルールです。ゲームは3ステージ構成で、特定の条件を満たすとエキストラステージに挑戦できます。各ステージには6曲、エキストラステージには2曲が用意されており、合計20曲が収録されています。

シリーズ作品

『VJ』には、以下のシリーズ作品が存在します。

VJ DASH
『VJ』のマイナーバージョンアップ版。映像用のボタンにも音が割り振られている点が主な違いです。
RAVE MASTER
1つのボタンと4方向レバーで操作するゲーム。上部に映像が流れ、手元の画面がゲーム画面となっています。難易度は4段階に分かれており、難易度が上がるごとに操作するレーンが増え、ボタンを押す回数も増えます。『VJ』の6ボタンを1つに集約したようなイメージです。

コナミとの確執

『VJ』は、『beatmania』に酷似したゲーム内容であったため、コナミはジャレコを特許侵害で提訴しました。さらに、コナミは本作を導入した店舗に対して露骨な圧力をかけ、「『VJ』を撤去しなければ『beatmania 4thMIX』や『pop'n music2』を導入させない」という強硬な姿勢を示しました。

特に、『VJ』を多く導入したナムコに対しては、東京地裁に本作品の撤去を求める仮処分を申請しました。この結果、ナムコはしばらくの間、直営店でコナミの音楽ゲームを導入せず、ジャレコや自社開発の音楽ゲームを稼働させることになりました。また、コナミの音楽ゲームを設置していた店舗では、古いバージョンを使い続けることになりました。この影響は、セガの直営店でも同様に見られました。

その後、コナミとの取引は再開されましたが、その内容は既存機器のバージョンアップやメンテナンスに限定され、新規機種の導入はほとんど行われませんでした。しかし、2016年4月以降、セガ エンタテインメントと共に『SOUND VOLTEX』や『MUSECA』などのコナミ製品を導入し、17年ぶりにナムコによるコナミ製品の本格的な導入が再開されました。さらに、コナミの電子マネーサービスであるPASELIも導入されました。

ジャレコは『VJ』を皮切りに『ステッピングステージ』や『ロックントレッド』といった音楽ゲームをリリースしましたが、コナミによる商標登録の影響で、シリーズ途中でのタイトル変更を強いられる作品もありました。

この一件から、ネット上では「コナミの製品を一切買わないようにしよう」というスローガンを掲げた「ボイコットコナミ運動」が発生しました。本作を巡る出来事は、当時のゲーム業界における競争の激しさを示す象徴的な事例となりました。

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