Vectorworks

Vectorworks：多様な設計ニーズに対応するCAD/BIMソフトウェア

Vectorworksは、Vectorworks, Inc.が開発した汎用CAD/BIMソフトウェアです。建築、土木、機械、舞台照明、造園など、幅広い分野の設計に対応できる点が大きな特徴です。日本市場ではエーアンドエー株式会社が販売を手がけており、macOSとWindowsの両OSに対応しています。

Vectorworksの機能と特徴

Vectorworksは、2次元と3次元の両方の設計に対応しています。ベクトルデータを取り扱うことを基本としていますが、ラスターデータの取り込みも可能です。作図機能に加え、データベース、表計算、3Dレンダリングなど、設計業務に必要な機能が多数搭載されています。

特に、バージョン2009以降はBIM(Building Information Modeling)機能の強化が進められており、建築設計においては情報共有や整合性管理の効率化に大きく貢献しています。

多様な製品ラインナップ

Vectorworksは、ユーザーのニーズに合わせて様々な製品が用意されています。

Vectorworks Design Suite: すべての機能を網羅したパッケージです。
Vectorworks Architect: BIM機能を強化し、建築・インテリア設計に特化したパッケージです。
Vectorworks Landmark: ランドスケープや造園設計に特化したパッケージです。
Vectorworks Spotlight: 舞台照明設計に特化したパッケージです。
* Vectorworks Fundamentals: 2D/3D作図、レンダリング、データベースなどの基本機能を搭載したパッケージです。

各専門分野向けパッケージは、Fundamentalsの機能を包含しており、必要に応じて機能を追加していくことが可能です。また、すべての製品にリアルタイムレンダリング可能なRenderworksが標準搭載されています。

歴史と進化

Vectorworksは、MiniCadという名称で誕生しました。Macintosh版から始まり、その後Windows版もリリース。比較的安価で扱いやすいことから、個人事業主や中小企業にも広く普及しました。

長年に渡る開発の中で、機能強化と製品ラインアップの拡充が行われてきました。2009年にはモデリングエンジンにParasolidを採用、精確性と堅牢性が向上。また、同年よりBIM機能を搭載したArchitectがリリースされ、以降も継続的にBIM機能が強化されています。2022年にはAppleシリコンにネイティブ対応した初のBIMツールとなり、パフォーマンスの大幅な向上が実現しています。

Renderworksのレンダリングエンジンも、LightWorksからCinema 4D、そしてRedshift by Maxonへと進化し、レンダリング時間の大幅な短縮と高品質なレンダリングを実現しています。

協働設計機能

Vectorworksでは、複数人で一つのプロジェクトを同時に編集できる協働設計機能が提供されています。ファイルサーバーだけでなく、DropboxやOneDriveなどのクラウドストレージサービスも利用可能です。レイヤー単位、オブジェクト単位での編集権限管理が可能なため、複数人での作業でもデータの整合性を保ちながら効率的に設計を進めることができます。

データ形式と連携

Vectorworks独自のファイル形式はVWXです。しかし、他のCADソフトウェアとのデータ交換にも対応しており、様々なファイル形式を読み書きできます。

まとめ

Vectorworksは、多様な機能と専門分野への対応、そして進化し続ける技術により、設計業務を効率化し、高品質な設計成果を実現するための強力なツールとなっています。初心者から熟練者まで、幅広いユーザー層に支持されている理由がここにあります。長年にわたる歴史とユーザーコミュニティの活発さも、Vectorworksの魅力の一つと言えるでしょう。

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