Viewers:1

『viewers:1』（ビューワーズワン）は、2020年12月24日にYouTubeで公開された、自主制作のSF短編映画です。監督は針谷大吾氏と小林洋介氏。舞台は、人類文明が崩壊したポストアポカリプス世界。主人公の男は、たった一人の視聴者に向けて、廃墟を彷徨いながら孤独に配信を続けています。

当初は数百回程度の再生数でしたが、2021年1月29日、東宝とALPHABOATによるオーディション『GEMSTONE』の第6弾企画「リモートフィルムコンテスト」でグランプリを受賞。SNSを中心に話題となり、現在では再生回数100万回を突破しています。

わずか140秒という短い尺ながら、驚くべきスケール感と、心を揺さぶる感動的な結末が、高く評価された理由です。その後、追加撮影や音楽・編集の全面的な見直しが行われ、4分33秒の最終版が制作されました。この最終版は、文化庁メディア芸術祭第25回エンターテインメント部門新人賞など、数々の映画祭で賞を受賞しています。

主人公は「ぐっちゃん」と名乗り、明るく振る舞っていますが、物語が進むにつれて、彼の精神的な追い詰められ方が見て取れます。彼の内面と、荒廃した世界が対比的に描かれ、視聴者に深い印象を与えます。

本作は、コロナ禍においてリモート制作された点が大きな特徴です。低予算で、撮影にはiPhoneが主に使用されました。特に、主人公が登場するシーンの多くは、主演の橋口勇輝氏による自撮りで撮影されています。予算や技術的な制約から3DCGは使用されておらず、代わりに日用品の写真をコラージュした独自の映像表現が用いられています。これは、作品に独特の視覚効果と雰囲気をもたらしています。

主演の橋口勇輝氏以外の登場人物はほとんど登場せず、風景は香川の美しい風景を主に使用。野良犬が登場するシーンの映像は、監督の小林氏が台湾で撮影したものを使用するなど、多様な映像素材が作品に深みを与えています。

スタッフは、出演と撮影を担当した橋口勇輝氏、監督・脚本・編集を担当した針谷大吾氏と小林洋介氏、そして素材撮影を担当した宮川鉄平氏、鈴木快氏、高階匠氏、小棚木俊氏など、多くの才能ある人材によって制作されました。

受賞歴は輝かしいものがあります。「GEMSTONE」リモートフィルムコンテストグランプリをはじめ、Short Shorts Film Festival & Asia 2020スマートフォン映画作品部門supported by Sony優秀賞、Young Directors Award 2021 Short Film – (up to 6 mins)部門Silver賞、ファンタジア国際映画祭Best International Short Silver賞、ANOTHER HOLE IN THE HEAD presents WARPED DIMENSION AWARDS 2021 Best Foreign Film賞、Sci-On! Award 2021 Critics’ Choice Award賞、CICLOPE Asia “NO LOGO部門”Best(部門最高賞)賞など、国内外問わず数々の賞を受賞しています。これらの受賞は、この作品の高い評価を裏付けています。

『viewers:1』は、技術的な制約を創意工夫で克服し、少ない予算と人員で、非常に完成度の高い作品を作り上げた、素晴らしい事例と言えるでしょう。その独創的な映像表現と、心に響く物語は、多くの視聴者に感動を与え続け、今後も多くの人に支持される作品となることは間違いありません。また、監督である針谷大吾氏と小林洋介氏は、本作以外にも『City Lives|City_Lives』というテレビドラマを制作しています。

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