Wバンド

Wバンドとは

Wバンドは、電磁スペクトルの[マイクロ波]]領域のうち、75GHzから110GHzの周波数帯域を指します。これは波長にして約2.7mmから4mmに相当します。この帯域は、IEEEが定める[[Vバンド]よりも高い周波数に位置し、NATOが指定するMバンド(60〜100GHz)と一部が重複しています。

Wバンドの主な用途

Wバンドは、その特性から、様々な分野で活用されています。主な用途としては、以下のものが挙げられます。

衛星通信: 高高度や宇宙空間での利用において、高いデータスループットを実現します。[国際電気通信連合]は、71〜76GHzと81〜86GHzの帯域を衛星サービスに割り当てています。より低い周波数帯ではスペクトルや軌道の過密化が進んでいるため、Wバンドは商用衛星事業者にとって魅力的な選択肢となっています。ただし、商用プロジェクトはまだ少ない状況です。
[レーダー]]: ミリ波レーダーの研究、特に94GHz帯域は、隠された武器の検出や自動車の衝突防止[[レーダー]に用いられています。94GHzは大気の減衰が少ない「ラジオウィンドウ」と呼ばれる特性を持つため、天文学や防衛、安全保障分野で有効活用されています。
ミリ波カメラ: 94GHz帯域を利用した受動ミリ波カメラは、隠された武器の検出に用いられています。ヘリコプター運用向けのリアルタイムイメージャーの研究も進んでいます。
軍事: レーザー標的の追跡アプリケーションや、アクティブ・デナイアル・システム(ADS)といった非殺傷兵器にWバンドが用いられます。ADSはミリ波で皮膚を加熱し、不快感を与えることで対象者を遠ざけるシステムです。95GHzの集束ビームを2秒間照射することで、皮膚を約0.4mmの深さまで54℃に加熱することが可能です。アメリカ空軍と海兵隊がこのシステムを導入しています。

Wバンドの技術的な側面

Wバンドの技術的な側面として、高周波であるため、より小型で高解像度のデバイスを開発できる可能性があります。近年では、SiGe（シリコンゲルマニウム）技術を用いたWバンドの集積回路に関する研究も盛んに行われています。

今後の展望

Wバンドは、高データレートの通信、高解像度のレーダー、非殺傷兵器など、多岐にわたる分野での応用が期待されています。特に、商用衛星通信分野での活用は、今後の発展が注目されています。

参考資料

5th Framework Programme Information Societies Technologies (IST) - Multifunctional Automotive Radar Network (RadarNet)
The design of a real-time 94 GHz passive millimetre-wave imager for helicopter operations, R. Appleby, R. Anderton, N. Thomson, J. Jack, Proc. SPIE, 5619, pp. 38 (2004). doi:10.1117/12.581336
Zhiming Chen, Chun-Cheng Wang, and Payam Heydari, "A BiCMOS W-Band 2×2 Focal-Plane Array With On-Chip Antenna," IEEE Journal of Solid-State Circuits, vol. 47, no. 10, pp. 2355-2371, Oct. 2012.
Leland Gilreath, Vipul Jain, and Payam Heydari, "Design and Analysis of a W-Band SiGe Direct-Detection-Based Passive Imager Using a Balanced LNA with an Embedded Dicke Switch," IEEE Journal of Solid-State Circuits, vol. 46, no. 10, pp. 2240-2252, Oct. 2011.

外部リンク

* A cloud radar at 94 GHz

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