W・リチャード・スティーヴンス

ウィリアム・リチャード・スティーヴンス(William Richard Stevens, 1951年2月5日 - 1999年9月1日)は、コンピュータ技術書のライターとして、特にUNIXとTCP/IPに関する解説書でその名を知られています。彼の著作は、ネットワークプログラミングの分野における標準的な教科書として、長年にわたり多くの技術者に影響を与え続けています。

生涯



スティーヴンスは1951年、北ローデシア(現在のザンビア)のルアンシャで生まれました。父親が銅産業に従事していた関係で、幼少期は家族とともに各地を転々としました。ユタ州ソルトレイクシティニューメキシコ州ハーレイ、ワシントンD.C.南アフリカ共和国ファラボウワなどを経て、ヴァージニア州ウェインズボロのフィシュバーン・ミリタリー・スクールに入学しました。彼は1973年にミシガン大学航空宇宙工学の理学士号を取得した後、1975年にアリゾナ州ツーソンに移住しました。

ツーソンでは、キットピーク国立天文台でプログラマーとして勤務しながら、アリゾナ大学で学び続けました。1978年に修士号、1982年にはシステム工学の博士号を取得しています。1982年から1990年までの間は、ニューヘイブンのHealth Systems International社でコンピューティングサービスの副社長を務めました。1990年にツーソンに戻ってからは、ライターおよびコンサルタントとして活動しました。また、熱心なパイロットでもあり、1970年代にはパートタイムの飛行インストラクターとしても働いていました。

スティーヴンスは1999年に48歳でこの世を去りましたが、彼の業績は今もなお多くの人々に影響を与えています。2000年には、その功績を称えてUSENIX貢献賞が授与されています。

書籍リスト



スティーヴンスは、数多くの技術書を執筆しており、特に以下の書籍は広く知られています。

1990年 - 『UNIX Network Programming』 - ISBN 0-13-949876-1
1992年 - 『Advanced Programming in the UNIX Environment』 - ISBN 0-201-56317-7
1994年 - 『TCP/IP Illustrated, Volume 1: The Protocols』 - ISBN 0-201-63346-9
1995年 - 『TCP/IP Illustrated, Volume 2: The Implementation』 (Gary R. Wrightと共著) - ISBN 0-201-63354-X
1996年 - 『TCP/IP Illustrated, Volume 3: TCP for Transactions, HTTP, NNTP, and the UNIX Domain Protocols』 - ISBN 0-201-63495-3
1998年 - 『UNIX Network Programming, Volume 1, Second Edition: Networking APIs: Sockets and XTI』 - ISBN 0-13-490012-X
1999年 - 『UNIX Network Programming, Volume 2, Second Edition: Interprocess Communications』 - ISBN 0-13-081081-9

これらの書籍は、UNIX環境でのネットワークプログラミングに関する包括的な解説を提供し、多くのプログラマーにとって必携の書となっています。

RFC



スティーヴンスは、IETF(Internet Engineering Task Force)のRFC文書にも貢献しており、特に以下の文書を共同執筆しています。

RFC 2292: "Advanced Sockets API for IPv6" (1998年, Thomas, M.と共著)
RFC 2553: "Basic Socket Interface Extensions for IPv6" (1999年, Gilligan, R. E., Thomson, S., Bound, J.と共著)
RFC 2581: "TCP Congestion Control" (1999年, Allman, M., Paxson, V.と共著)

これらのRFC文書は、IPv6のサポートとTCP輻輳制御に関する重要な規格を定義しており、インターネット技術の発展に貢献しています。

外部リンク



スティーヴンスのかつてのサイト(英語)
Guru of the Unix gurus by Rachel Chalmers (2000年9月1日) at Salon.com (英語)
* Usenetの死亡記事(英語)

スティーヴンスの著作は、現在でも多くのエンジニアにとって貴重な情報源であり、彼の遺した知識は、コンピュータ技術の進歩に大きく貢献しています。

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